『車をとったらどうなるか、あなたにはわからんでしょう』言われた言葉 免許返納、押しつけでは解決しない 起業した女性(35)
■起業や自治体と連携し利益出すしくみ 山内さんの会社ではこうした相談については無料で応じている。 利益は、返納後の車の売却や、グリーンコープ生協や自治体、企業のサービスと連携し、免許返納の最大の課題である”交通手段と買い物問題”の解決に取り組む際に、手数料や企業からの紹介料でうみだすしくみだ。 セーフライド代表 山内紗衣さん(35) 「免許返納をされた方が一番喜ばれる自治体の特典は、タクシー券なんです。ある自治体はタクシー券を1回だけ配布しているのですが、担当者の方がおっしゃるのは、それがすごく喜ばれるけれども『1回じゃ足りない、毎月ほしい』っていう声が多く届いていて、喜んでもらえるのは分かっているけど、でもそれができない。使える予算は限られているからできないんです、と。そこを、私たちの会社が企業とタイアップしたりしてどうにかこうにかかき集めたら毎月タクシー券を配布できるかもしれないし、自治体単体ではできないことも一緒にできるかもしれない。企業はすぐに手がとりあえるというメリットがあると思っているので、『それいいですね、うちも困っています。うちも助けたいです』ってできるから。そういう意味で壁はなくせるかなと思いました。」 ■管理栄養士としての経験 とはいえ、すべての高齢者に画一化した支援サービスをあてはめてもうまくいかない、と感じている。山内さんは大学卒業後、管理栄養士として熊本県内の病院に勤務。食べる力が弱くなった高齢者が口から食べられるようにするためのプロジェクトに携わった。この時の経験からだ。 セーフライド代表 山内紗衣さん(35) 「患者さんはかむ力がとても弱いので、提供するのはどろどろの食事なんです。でもどろどろだと食欲がわかない。『やわらかくても食欲わくような食事をつくってくれ』とドクターから言われて、見た目を工夫したり香りとか、形をなるべく残す、けれども舌でつぶせるくらいのやわらかさにする。圧力鍋や重曹を使ってつくりました。それでも、何が食べられるのか、人によって違うんですよ。カップラーメンばかり食べていたおばあちゃんは、病院の食事をいっさい受け付けないんですけど、カップラーメンは食べるんですよ、びっくりするぐらい。食事がとれなかったのに、先生の許可をもらってだしたら。でも毎回カップラーメンだすわけにもいかず・・・。結局、それまでどう生きてきたか。生活って十人十色あって、免許返納後の生活の課題もそれまでの生き方によっても変わってくるので、マニュアルはあっても、その人に合わせて変えていかないとうまくいかないよね、って考えています」
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