ジョブズは、アップル自社製チップM1の夢を見たか?
新しいM1 MacBook Airの素晴らしさには本当に舌を巻く。使い始めて1カ月が経つが、もうインテルMacの電源を入れることはないように思える。 いったい、この猛烈なパフォーマンスは何なんだろう? インテルがサボっていたのか? アップルはいつの間にこの魔法のようなアップルシリコンを作ったのだろう? ただ、歴史をひも解いてみると、今世間を驚かせている最新のMacBook Airなどに使われているアップルのM1チップが、昨日今日に作られたものではないことが浮かび上がってくる。
iPhoneのCPUで動作するmacOSを作るのにどれぐらいかかるだろう?
2020年6月にオンラインで開催されたWWDCでデベロッパーベータが発表された最新のmacOS 11 Big Surは、インテルプロセッサーとアップルシリコンの両方で動作する。その上で動作するアプリもユニバーサルバイナリーに準拠していれば、両方でネイティブアプリで動く。準拠していないインテル版のアプリは、Rosetta 2が翻訳することでだいたい動く。 背後でこれだけの仕組みを作るのに、何年かかるだろうか? 1年ではないだろう。2年だろうか? 3年だろうか?
ちょっと時間をさかのぼってみよう。 昔々、アップルがPowerPCからインテルにCPUを乗り換える時(2005年)、スティーブ・ジョブズがキーノートで「実は、Mac OS Xは、社内の秘密の場所でインテルCPU対応版も開発していた」と明かしたことがある。どうもアップルには膨大な『製品に結びつかないプロジェクト』が動いているらしく、とあれば『iPhone/iPadで動作するOS X』というテーマの研究がずっと行われていたとしてもおかしくない。 それは、いつからなのだろうか? そもそも、2007年の初代iPhoneの発表の時に、iPhoneのOS(当時はまだiOSとは言われていなかった)は、Mac OS Xのサブセットである……という説明があったから、もともと血脈は繋がっているのでる。