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窓口で十数年、職場での呼び名は「嘱託さん」 非正規公務員の嘆き

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中国新聞デジタル

 国や地方自治体の公務員の5人に1人は非正規で働いていることをご存じだろうか。この10年で1.4倍に膨らんだ。多様化する住民ニーズに応えるため、現場では経験やスキルも要求されるが、待遇はなかなか改善しない。「非正規公務員」たちの胸の内に迫る。 【表】地方自治体の正・非正規職員の平均月給

■「頭を使わない仕事でいいね」平然と放つ正職員も

 「嘱託さん」。それが職場での呼び名だ。広島県内の40代の女性は、離婚後に役所の窓口で働き始めて十数年。嘱託職員の私の名前を、同僚の何人が知っているんだろう。「何のリスペクトもない。自己肯定感は地に落ちてます」とため息をつく。  窓口には毎日多くの住民がやってくる。相談内容に耳を傾け、必要な書類を用意する。笑顔で、丁寧に―。「住民にとっては、窓口の私たちが『行政』ですから」。責任を持って仕事に向き合ってきたつもりだ。  でも、現場に寄せられた声を基に業務の見直しを提案しても「嘱託さんはそこまでやらなくていい」とすげなく言われる。生活苦を訴える人のために支援制度を調べようとしたら「窓口は聞かれたことだけ答えて」。創意工夫は求められない。  クレーム対応は「感情労働」なのに評価されない。「制度がおかしい」「税金取り過ぎだろ」と苦情やストレスをぶつけられ、神経を使う。いちいち怒ったりせず、なるべく共感しながら、分かってもらえるように細やかな説明を心掛けている。  それでも、同僚からは「誰でもできる受付係」と軽んじられている気がする。「頭を使わない仕事でいいね」「試験に合格した公務員と、非正規では待遇が違って当然」と、平然と言い放つ正職員もいる。  公の機関は「より働きやすく」「差別をなくそう」と呼び掛ける側のはずだ。でも実際には、自分たち非正規が見下されているような感覚がぬぐえない。  1日6時間の勤務は濃密だ。窓口と電話対応、書類仕事をこなし、新人のフォローもする。その対価は、手取り月12万円ほど。正職員の3分の1しかない。十数年たつのに昇給もほとんどない。「ただの事務補助に『経験値加算』は要らないだろ」。かつて正職員から投げつけられた言葉が忘れられない。

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