川崎優勝の原動力・三笘の武器はドリブルに非ず 恩師が「薫は才能の塊」と語る意外な理由とは?
海外で活躍するアカデミー出身選手にも共通する「聞く力」
三笘に限らず、川崎のアカデミー出身選手がトップチームを経て活躍する例が近年増えているが、三好康児、板倉滉を始めとする選手たちに共通しているのが「人の話を正確に聞けて、正しく実行できるということ」なのだと高崎監督。 「人の話を聞くという資質は、結局人間性につながるんですね。それができる人は人から愛されたり、尊敬されるようになることが多い。そしてそれが素直さということなんですね。人の話を聞くということを実行できている選手は小さいころからそれができてました。例えば田中碧は本当に素直でしたよ」 人の話を聞けない選手がどうなるのか。中学生時代に名前をはせた選手は大成しにくいという傾向があるが、それは早めに訪れた成長期による身体能力的なアドバンテージを自分の能力だと勘違いして慢心してしまうことにある。 「諭す大人は必ず周りにいます。でも、そのときにアドバイスを受け入れる力がその子にあるのかどうかがポイントになります。聞き入れる力がないと、どんなに信頼している人に言われても、身体能力でできている現状を過信してしまう。そういう子には『上には上がいるよ。何も偉くないよ』ということをとことん言い続けないといけません。でも、聞き入れられない子は楽なほうに流れてしまいます」 さらに厄介なのは、そうした子をちやほやする人が出てくるということ。 「どうしても、ちやほやする人が出てくる。まだ中学生だよと諭す人がいたとしても、仲間とか先生とか親とかから無批判に『お前はすごい』って言われてたら、勘違いしますよね」 だからこそ、考える力が大事なのだと高崎監督は力説する。 「本当に考える力が大事で、そこがすべてだと思えます。これまでに携わった選手たちは、ほとんどそこは自分である程度やれていると思っています。それは仮にプロにいけなくても、自分の人生の決断を自分で描けているので。就職しようとか別の分野にいこうと考えられる。でも流されてなんとなくプロに、という選手は踏ん切れないことも多いですよね。だから(三好康児、板倉滉、岡田優希などの川崎U-12)1期生もそうだし薫たちの代(2期生)もそうだけど、どの代も自分で決断して歩めていると思っています」