#01 大国に翻弄される島国 / フォト・ジャーナル 高橋邦典 第3回
西半球でもっとも貧しい国ハイチ。国民の8割は貧困にあえぎ、慢性的な食料不足に悩まされる。貧困層の代弁者として、選挙によって選ばれたアリスティード大統領だったが、米国が後押しした敵対勢力によるクーデターで国内は混乱に陥った。あちこちで暴動が起こり、教会にあった支援物資も強奪された。市民も兵士も混ざって、みな我先にと手につくものを奪い合う。 「どけ、どけ!道をあけないと撃つぞ!」 軍服を着た男が、小麦のはいった袋をかかえながら銃を振りかざした。大国アメリカの思惑によって、いつも翻弄されてきたこの小さな島国。とばっちりを受けるのは、いつも名もない市民達だ。