Yahoo!ニュース

IDでもっと便利に新規取得

ログイン

韓国ブチぎれ、米国トランプ暴走、そして日本は焼け野原。「米朝核戦争」最悪のシナリオ

配信

プレジデントオンライン

■北朝鮮の南北共同連絡事務所爆破は戦争を引き起こさなかったが…  「韓国国民の安全と命を脅かすならば、断固として対応する」「我々は絶えず、平和を通じて南北共存の道を探し出す。統一を論じるより先に、仲の良い隣人になるよう望む」 【この記事の画像を見る】  韓国・文在寅大統領は6月25日、朝鮮戦争開戦から70年の式典でこう述べた。約10日前に北朝鮮が南北共同連絡事務所を爆破したばかりだが、死傷者が出なかったことから、「まだ韓国国民の安全と命は脅かされていない」「仲の良い隣人になれる可能性は残っている」と判断しているのだろうか。  では仮に、あの爆破によって死傷者が出ていたらどうなっていたのか。それも韓国軍の兵士ではなく、一般人が巻き添えになっていたら?   1つの条件の違いで、国際社会の行く末は全く違った方向に流れていく可能性がある。

■現実に基づいた最悪のシナリオ『2020年・米朝核戦争』  そうした「最悪のシナリオ」をシミュレーション小説として描いたのが、ジェフリー・ルイス『2020年・米朝核戦争』(文春文庫)だ。トランプ大統領、文在寅、そして金正恩委員長の思惑がすれ違い、核戦争に発展、日米韓で300万人以上が北朝鮮の核の犠牲になって死亡するという筋書きだ。  事の発端は、韓国発の旅客機を米軍機と誤認した北朝鮮が、旅客機を撃墜したことから始まる。韓国の修学旅行客を乗せていたため、文在寅はアメリカに相談せず、北朝鮮に報復。アメリカの指示があったと誤認した北朝鮮は日韓に核弾頭を積んだ複数のミサイルを発射、アメリカも応戦したが、北朝鮮はさらにアメリカにも核攻撃を行う――という最悪のシナリオが、調査委員会の報告書という体裁で緊張感をもって描かれている。  著者はミドルベリー国際大学院モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究センター長を務め、スタンフォード大学国際安全保障協力センターなどで核兵器計画を研究している安全保障の専門家。フィクション作品を初めて手掛けたとのことだが、執筆時点の2018年8月7日以前に関する作品内の出来事や解説は、すべて現実の情報ソースに基づいている。 ■北朝鮮に報復する文在寅、完全に社会不適合者のトランプ  もちろん、「核戦争」を引き起こす、という結末を描くために実在の人物の造形が単純化されている面はある。「文在寅がアメリカに相談もなく北朝鮮に報復するだろうか」という、核戦争に至る最初の分岐が最も大きな疑問ではあるが、著者はその点もうまく理由付けしている。  また、トランプに至っては完全に社会不適合者のような描かれ方をしているが、大統領の一挙手一投足に神経をとがらせ、「おかしなことを言い出さないように」と気を遣う側近たちの描写は妙にリアルでもある。「南北共同連絡事務所爆破」で一躍(? )危険人物としてクローズアップされている北朝鮮の金与正についての言及も興味深い。  人物造形が単純化されていることを差し引いても、「全くあり得ない話でもない」と感じさせるのがこの作品のうまいところでもある。  自国のレーダー装備の古さが軍機と旅客機の誤認を招いたにもかかわらず、これでもかというような罵倒を繰り出してくる北朝鮮。ツイッターで他国の国家元首やその家族を罵るトランプ。そのお互いの言葉の応酬が疑心暗鬼を産み「300万人死亡」という悲劇へ向かっていく。あまりの言葉の汚さ、ばかばかしさに半分笑ってしまいながらも、とても笑っていられない結末を招くのである。

【関連記事】