フランス格付け、ムーディーズが引き下げ-財政悪化懸念を挙げる
(ブルームバーグ): ムーディーズ・レーティングスは、フランスの信用格付けを「Aa3」に引き下げた。従来の格付けは「Aa2」。フランスでは財政赤字削減を巡る対立で政治の混迷が深まっており、13日には過去1年で4人目の首相にフランソワ・バイル氏が就任した。
ムーディーズは14日の発表資料で、今回の格下げは「今後数年にわたり同国の財政が大幅に悪化するという見解を反映している」と説明。「次期内閣が来年以降、財政赤字の規模を継続的に縮小できる可能性は、現在のところ非常に低い」と指摘した。
格付けの見通しは「ネガティブ(弱含み)」から「安定的」に変更した。
極右政党・国民連合(RN)を事実上率いるマリーヌ・ルペン氏が左派連合と手を組みバルニエ内閣を倒したため、マクロン大統領は長年の盟友でもあるバイル氏を新首相に指名した。
退任するアルマン経済・財務相は今回の格下げについて、最近の議会情勢と予算を巡る不確実性を反映したものだと指摘。ソーシャルメディアへの投稿で、「フランソワ・バイル氏の首相指名と赤字削減に向けた意志の再確認が明確な回答となるだろう」と述べた。
内閣の崩壊と2025年予算案の廃案で数カ月にわたる政治的混乱がさらに深まっており、企業信頼感とフランス経済見通しは悪化している。
バルニエ内閣の予算案は、財政赤字の対国内総生産(GDP)比率を今年の6.1%から5%に引き下げるため大幅な緊縮財政を盛り込んでいた。次期内閣は、バルニエ内閣を崩壊に追い込んだ一部議員の支持を確保するため、これら計画を縮小せざるを得ないとみられるが、エコノミストらは最終的には財政が全く改善されない可能性さえあると指摘している。
今年に入り、消費支出と企業収益が予想を下回り税収が減少したことで財政再建計画はすでに厳しい状況にあった。政治的混乱により、フランス国債とドイツ国債の利回り格差(スプレッド)は2012年以来の水準に拡大している。