阪神マートンが目下打撃3冠を独走している理由
掛布氏の分析は?
阪神のGM付育成&打撃コーディネーター(DC)で評論家の掛布雅之氏は、技術的には、こんな見方をしている。 「マートンの特徴は、そのバットの角度にある。ボールに最短距離でインパクトするダウンスイング。王貞治さんが、ボールの下にバットを入れるためにダウンスイングを意識していたが、その王さんに引けを取らないような角度を保ち、ダウンの軌道でバットが入っていく。そうなるとボールを引きつけポイントが近くなるのでボールを見極めることが可能になる。だから今のマートンは、ほとんど難しいボールには手を出さない。必然的に確率も上がる。またバットをボールの下に入れるので、打球に回転を与え打球も飛ぶ。今年は飛ぶボールだから、これまで外野の頭を超えるような打球がオーバーフェンスするようになってきた」 そして、三つ目の理由が、新外国人として今シーズン加入したゴメスの存在。32歳のマートンは、キャンプから日本流の配球論などを教えるなど、公私にわたってアドバイスを送りながら、29歳の新外国人の面倒を見てきている。これまでは、どちらかというと、マイペース型だったマートンに、ゴメスが入団したことで責任感が生まれた。5番打者として、『4番のゴメスを成功させなければならない』という責任感である。 この巨人戦で5番を打つマートンは、初回からベンチ前に出て、杉内や内海のピッチングにタイミングを合わせる素振りをしていた。前を打つ2人が出塁しなければ、打順が回ってこないにもかかわらずだ。その姿勢だけで、マートンの責任感とモチベーションの高さが伝わってくる。 また昨年オフに2年契約が終了して、新たに単年契約を結んだという背景もある。現在のプロ野球では、新外国人を獲得するよりも、日本で実績を残した外国人を“FA扱い”で獲得することが主流になっている。つまり、結果さえ残せば、阪神だけでなく日本の野球界に好条件で生き残れる可能性が高まる。