結果として清原正吾の“引退試合”となった慶早戦。その試合後に写真を撮る堀井哲也監督と正吾 photograph by Yuji Yanagawa

「本当に野球再開するの？」「まじでやるよ」。高校3年の夏、清原正吾の親友は本人に何度も尋ねた――。親友と恩師が明かす清原正吾の素顔とは。「清原という苗字で野球をやる以上、それは覚悟しています」。【全4回の3回目】 【最新写真】「16年前、あんなに小さかった子が…清原和博の引退試合に映っていた清原正吾」「号泣→笑顔…ドラフト後、最後の試合の様子」「モデルの母にそっくり？」清原正吾の貴重写真を一気に見る ◆◆◆ 　清原正吾の幼なじみで、家族ぐるみの付き合いを続けてきた福住勇志は、野球から離れていた正吾が大学で再び野球をやるという話を聞いた時、「最初は意味が分からなかった」と振り返る。 「だって、中学・高校と野球をやっていない人が大学で野球をやるなんて、普通はあり得ないじゃないですか。何度も『ほんと？　』と聞き返しました。その度に『まじでやるよ』と。あいつが再び野球をやることは嬉しかったですね。同じチームで戦うのは小学生以来ですから。同時に、これは正吾に負けられないなと思いました(笑)」

「清原という苗字で野球をやる。覚悟しています」

　大学入学を前に、二人は幼稚舎時代に担任だった森林貴彦に挨拶に行った。現在、慶應高校で監督を務める森林は、多感な時期に父の騒動が起きた正吾と、福住の成長を、幼稚舎を出たあとも温かく見守っていた。 「正吾の中では、野球を再開することでモリバ(森林監督の愛称)が喜んでくれるんじゃないか、というのもあったと思います。幼稚舎時代に6年間お世話になったモリバは第2の父親的な存在で、今でも僕らのことを気に掛けてくれています」 　慶大監督の堀井哲也のもとを正吾が訪れたのは2020年秋の終わり頃だ。大学進学後の入部を希望する正吾に対し、堀井はこう告げた。 「6年間野球をやっていないと聞いているし、まして清原和博さんの息子だ。いろいろな意味で大変だぞ」 　すると正吾はこう返答した。 「清原という苗字で野球をやる以上、それは覚悟しています」 　正吾の強い眼差しに、堀井もまた正吾と4年間を共にする覚悟を決めた。 「その頃は、4年間で出場できたとしても代打ぐらいだろうと思っていたので、『ベンチに入るだけで大成功だよ』と言ったことを覚えています」(堀井)