新型レクサスLBXに乗ってわかった“小さな高級車”の美点と弱点とは
レクサス最小のSUVである新型「LBX」のプロトタイプに大谷達也が試乗した。はたして印象はいかに? 【写真を見る】新型LBXの実車の細部など(93枚)
よくまとめられたデザイン
今年6月にワールドプレミアを飾ったばかりのレクサスLBXは、「高級車の概念を変えるサイズのヒエラルキーを超えた次世代レクサス・モデル」と、位置づけられている。 これだけだとなにがなんだかわからないかもしれないが、LBXがトヨタ「ヤリス」と同じGA-Bプラットフォームをベースとしていて、3気筒1.5リッター・エンジンを積んでいると聞けば、多くの人が驚くはずだ。 LBXの全長×全幅×全高は4190×1825×1560mmで、ホイールベースは2580mm。端的にいえば、LBXはいわゆるBセグメントに属するクロスオーバーモデルである。 プレミアムブランドは一時期、ラインナップの拡充に取り組んだことがあって、当時はコンパクトモデルが次々と登場したが、それでもボディサイズの下限はCセグメントとするブランドが大多数を占めていた。Bセグメントまで踏み込んだのは、おそらくアウディ「A1」、それに「ミニ」の3ドアと5ドアくらいだろう。レクサスがLBXのことを「サイズのヒエラルキーを超えた」と、主張するのは、こうした背景が関係しているからだ。 それでも、写真で見るLBXが小さくまとまることなく、ダイナミックで伸びやかなプロポーションを手に入れているように見えるのは、ボディに対してタイヤの外径が大きめに設定されているのにくわえ、ボディサイドが抑揚豊かな造形で仕上げられていることに主な理由があるように思う。 ちなみに試乗車(プロトタイプ)に装着されたタイヤサイズは225/55R18というもの。開発を担当した技術者によると、その外径は705mmで、トヨタ「センチュリー」と肩を並べるという。それをコンパクトなBセグメントのボディに履かせたのだから、迫力あるプロポーションに仕上がったのは当然といえる。 それにしても、前後フェンダーの周辺をこれだけ大きく盛り上げたBセグメント・モデルは、世界的に見ても滅多にない。なぜなら、コンパクトモデルは全幅も限られているため、彫りの深いボディサイドにすれば室内幅が狭くなって居住性に差し支えが出るからだ。 そこでLBXでは、A1やミニ3ドア/5ドアを10cmほど上まわる1825mmの全幅とし、“彫りの深さ”を実現できる寸法代を確保。このクラスに必要とされる室内幅を保ちながら、ダイナミックなスタイリングを描き出すことに成功したのだ。