【ジャパンC】1着固定は危険? アーモンドアイに立ちはだかるジンクスと押さえたいデータ
データ上ではデアリングタクト
その3歳をさらに掘り下げよう。まずは前走レース別成績。 トップは秋華賞で【2-1-0-2】勝率40%、複勝率60%と高アベレージ。そこで秋華賞での着順別をみると、 秋華賞馬はジャパンCで【2-0-0-1】。前走秋華賞組は勝利が条件。それこそ18年三冠牝馬アーモンドアイがこれに該当。もう1頭は12年三冠牝馬ジェンティルドンナで、ジャパンCに挑戦した三冠牝馬はともに勝利。これはデアリングタクトに心強い。 では菊花賞はというと、【1-0-0-4】。秋華賞からのローテとはたった1週間の差だが、されど1週間。菊花賞からジャパンCというローテは成功例が少ない。ただし、菊花賞での着順別成績をみると、コントレイルの扱いは要注意となる。 菊花賞馬のジャパンC挑戦はこの10年ではゼロ。牡馬クラシック三冠馬の次走というと有馬記念が多く、11年オルフェーヴルや(集計期間外だが)05年ディープインパクト、94年ナリタブライアンが該当。次走ジャパンCとなると84年シンボリルドルフまで遡る。ルドルフは3着だったが、当時は菊花賞から中1週で間隔がまったく違うため参考にはならない。 つまり前走菊花賞組はすべて2着以下の馬たちによる数字であり、コントレイルに当てはめるわけにはいかない。なお上記3頭の三冠馬は有馬記念1、2、1着。よってコントレイルが古馬に通用しないとはいえず、かといって有馬記念より間隔が詰まるジャパンCは……とも。コントレイルの取捨は大きなポイントだろう。 3、5歳に注目が集まるが、4歳だって【4-3-3-42】なので軽視禁物。ところが4歳の前走レース別成績をみると、天皇賞(秋)【3-2-2-14】、京都大賞典【1-0-0-4】がローテの主流。カレンブーケドールのオールカマーは過去10年出走例がない。これも悩ましい。
立ちはだかる最後のジンクス
最後にアーモンドアイを含め3頭がエントリーしている5歳馬のデータをみていく。 アーモンドアイが該当する天皇賞(秋)は【2-2-4-10】勝率11.1%、複勝率44.4%。軸に最適ながらやや勝ちきれないとデータは語る。ここを掘り下げる。 5歳で天皇賞(秋)を勝った馬は上記のデータ通り【0-1-3-1】と1着がなく、複勝率が80%と高いだけ。最初にあげたブエナビスタも天皇賞(秋)は4着。期間を84年以降に拡大しても連勝した5歳馬はいない。キタサンブラックも同い年のシュヴァルグラン、3歳レイデオロに先着を許し3着だった。 ここまで強調すると、現代競馬の象徴アーモンドアイに既成概念をぶち破られそうな予感もあるが、事実は事実。もっというとアーモンドアイが1シーズンでGIを複数勝ったのは3歳時のみで4歳以降は春秋1勝ずつ、それも休み明けを勝ち、2戦目を落としている。 そうはいいつつ、馬券圏外に負けたのは状態面と適性面どちらも疑問だった有馬記念9着のみ。データが示す通り連軸としてはもっとも計算できるか。 5歳で強調したいのは前走GII組。京都大賞典を勝ったグローリーヴェイズといいたいところだが、5歳前走GII勝ちは【0-0-0-4】でイマイチ。掲示板以内には来たが負けた、という馬がよく、前走GII3着【1-0-0-1】、同4着【0-1-0-3】ぐらいが面白い。該当するのはアルゼンチン共和国杯4着ユーキャンスマイル。もっとも、間隔が詰まるアルゼンチン共和国杯組の5歳は【0-0-0-9】だが…。同馬は中2週での出走が初。叩いて変わるキングカメハメハ産駒だけに、妙味を考えれば一角崩しを狙って馬券のどこかに入れておいてもいいのでは。 ライタープロフィール 勝木 淳 競馬ライター。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。YouTubeチャンネル『ザ・グレート・カツキの競馬大好きチャンネル』にその化身が出演している。
勝木淳