小さな“悪”とどう付き合う? 他人にも自分にも寛容になることのすすめ
「絶対」と「どちらでも良い」の間を認めると生きやすくなる
人の世には、「絶対にしなければいけないこと」があり、「絶対してはいけないこと」もあります。でも、その中間に、「してもしなくても、どちらでも良いこと」があります。それぞれの人がその時の気分で決めることもありますが、その基準は誰もが常識的に分っているでしょう。そして、もう少し考えると実は「絶対にしなければいけないこと」と、「どちらでも良いこと」の間にする「したほうが良いけれど、しなくても厳しく罰せられるほどではないこと」(宗教的に言えば、地獄に落とされるほどではないこと)があります。 同じように、「絶対してはいけないこと」と、「どちらでも良いこと」の間に「しないほうが良いけれど、しても厳しく罰せられるほどではないこと」(宗教的に言えば、地獄に落とされるほどではないこと)があります。 つまり人間の行ないは、 (1) 絶対にしなければいけないこと (2) したほうが良いけれど、しなくても厳しく罰せられるほどではないこと (3) してもしなくても、どちらでも良いこと (4) しないほうが良いけれど、しても厳しく罰せられるほどではないこと (5) 絶対にしてはいけないこと 以上の5段階評価と考えるほうが、人生は楽になります。特に(2)と(4)グループの存在を認めると、自分にも他人にも寛容になれて、ずいぶん生きやすくなります。人は誰しも、怠け心に負けてやるべきことをサボってしまうことはありますし、「分っちゃいるけどやめられない」こともあります。そんなとき、反省はしたほうがいいけど、反省すればそれ以上の罰を求めなくてもいいことにするのです。 正体がなくなるまで酔いつぶれるとか、たまに仕事や学校をずる休みするとか、道で拾った小銭をネコババするとか、しないほうが良いことはいくらでもあるけれど、これらの行為のすべてが罪ならば人は皆、牢屋に入れられます。こんなことをしでかした自分を厳しく責めていたら、心は壊れっぱなしですし、そんなことをしでかす他人のことがいちいち気になって「箸の上げ下ろしにも文句を言う」ようでは、自分の精神状態を悪化させ、人間関係にも支障をきたすでしょう。