【ボルテスV】合体シーンに燃える!レイエス監督に聞く実写版の魅力
敵のプリンス・ザルドスたちにも注目!
――劇中で観てほしい注目のポイントを教えてください レイエス 日本で公開される“超電磁編集版”では巨大要塞“スカールーク”の偉容や、ボルテス・チームの敵となるボアザン星のプリンス・ザルドスたち地球征服軍 の物語からはじまります。それを受けてプリンス・ザルドスだけでなくザンドラ、ドラコ、ズールといったザルドスの側近たちを、オリジナルのアニメよりもさらに描写を膨らませるかたちでキャラクターに肉付けをさせてもらいました。そんなこともあって、プリンス・ザルドスとその側近であるザンドラやドラコ、ズールの関係性にも注目してもらいたいと思います。 ――個性的かつ印象的なキャラクターの雰囲気を残しつつ、実写版ならではの描写が追加されているのは素晴らしいと思います。 レイエス そうなんですよ。物語の主役はもちろんスティーヴ、ビッグ・バート、リトル・ジョンのアームストロング家の三兄弟にマーク・ゴードン、ジェイミー・ロビンソンの五人からなるボルテス・チームではあるんです。彼らの「レッツ・ボルトイン!」の掛け声で展開される巨大ロボ『ボルテスV』の合体シーンにはすごくこだわりましたし、私自身これを見たいがためにこの作品の監督になったというとこもあったりしましたので(笑)。でもそんな彼らに負けないくらい厚みのあるキャラクターとして、プリンス・ザルドスとその側近たちを描かせてもらいました。アニメと同じザンドラの盲目的な忠誠心やドラコの粗暴な猛々しさは見どころですし、ズールを演じるエピ・クウィゾンは憎たらしいながらも笑える仕草が本当に素晴しいんですよ。観ていると彼らのことを憎い敵と思いつつ、でも惹かれてしまうみたいな、そんな印象をもってもらえるんじゃないかと思います。 ――プリンス・ザルドスですが、原作アニメ『ボルテスV』だと美形の悪役“プリンス・ハイネル”として女性人気を誇っていました。そんなキャラクターの配役を決めるのはかなり苦労されたんじゃないでしょうか? レイエス ボアザン帝国の皇族であるプリンス・ザルドスは、繊細な心の機微をもったカリスマ性のあるキャラクターです。征服者としての力強さや皇族としての高貴さをもちながら、「謀反人の子」としての劣等感や疎外感を常に抱いている、そんな二面性をもっているので、私は彼の脆弱な部分などを多層的に演じないと、その魅力を出し切れないんじゃないかという危惧を抱いていました。 ――プリンス・ザルドス役にマーティン・デル・ロザリオさんを選んだ決め手は? レイエス 配役はオーディションで選びました。その際にかなり難しい課題に挑んでもらったんですが、マーティンは涙を浮かべながらの迫真の演技でプリンス・ザルドスの傷つきやすい儚さを見事に表現してくれたんです。その姿を見たときに「この人しかいない!」と確信して、その場で配役を決めさせてもらいました。実際に撮影が始まってからも、さすがとしかいいようのない演技を見せてくれましたので大変満足しています。 ――ボルテスVと巨大獣型ロボット“ビースト・ファイター”の格闘シーンも見どころですね。 レイエス もちろん! ボルテスVとドクガガ、バイザンガという二体のビースト・ファイターとの迫力のバトルは、この作品の一番の見どころといっていいでしょう。私自身入念にストーリーボードを組み立てながら格闘シーンはデザインしていきましたし、撮影ではマーシャルアーツの格闘家に戦いの様子を実演してもらってワイヤーフレームを合成し、それをキャプチャーすることで迫力あるCG映像を制作しました。 ――どんな展開になるのか目を離せない、そんなバトルになっています。 レイエス 巨大ロボットが殴って蹴っておしまいではなく、個性的な戦闘技術を披露するなどガッツリとしたエンターテイメントになるように工夫を凝らしました。原作アニメでもウィットに富んだ面白いギミックを使った戦いが展開されていましたが、そこはしっかり踏襲しつつ、「次はどんな戦いを繰り広げてくれるのかな?」といった期待感とともにバトルシーンを楽しんでほしいと思います。 ――最後に劇場公開を楽しみにしているファンの皆さんにメッセージをお願いします。 レイエス かつてアニメ『超電磁マシーン ボルテスV』を見ていたファンの皆さんには、郷愁の念を誘うような作品になっていると思います。記憶の底に眠っていた懐かしいシーンに再び出会える喜びを味わってみてください。そして初めて『ボルテスV』に触れる人は、劇場の大スクリーンで観ていただき、この素晴らしい作品を知ってほしいと思います。普遍的なテーマ、そして最新のレトロやローテクな味わいを残しつつも技術を駆使した映像は、確実に若い人の心に刺さるはず。ご覧になった皆さんからどんなリアクションがいただけるのか、すごく楽しみですね。アニメ大国である日本のファンの皆さんに太鼓判を押してもらえたなら嬉しいです。
ライター 川畑剛