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[書評]日本の良心的な弁護士たちによる「日帝徴用工事件」の弁論

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ハンギョレ新聞

『完全でも、終わってもいない』(原題:『徴用工裁判と日韓請求権協定:韓国大法院判決を読み解く』山本晴太、川上詩郎他)  1943年、日本のある製鉄所は平壌(ピョンヤン)のある新聞に採用広告を出した。大阪の製鉄所で2年間訓練を受ければ、朝鮮半島の製鉄所で技術者として働けるという内容だった。広告を見た17歳と20歳の青年は採用に応募したが、いざ大阪に行ってみると、約束とは異なる仕事が待っていた。技術を学ぶ代わりに、炉にたまった石炭カスの片付けを任された。休みは1カ月に1~2日しかなく、手に入るのは小遣いとしてもらう2~3円だけだった。賃金の入った貯金通帳は寄宿舎の舎監が保管しており、返してもらえなかった。空腹に耐えきれず脱走を試みたが、結局捕まって殴られた。  人権が踏みにじられたこの話は「日本製鐵徴用工事件」の一部だ。 1990年代から被害者たちは被害事実を認めてもらうため、韓日両国を行き来して闘ってきた。2018年10月30日になって韓国最高裁判所(大法院)は彼らを強制動員した日本製鉄に1人当たり1億ウォンの損害賠償金を支払うよう判決を下した。さらに、最高裁は2018年11月29日、三菱広島徴用工や三菱名古屋造船女子勤労挺身隊事件などについても、被害者の賠償を受ける権利を認めた。  これに対し、日本の安倍政府は「韓国が約束を破った」として2019年7月に韓国に対する輸出規制強化措置を取った。1965年の韓日請求権協定において、強制徴用と慰安婦被害者問題が「完全かつ最終的に」解決されたという判断が根拠となった。『完全でも、終わってもいない』は、この判断に反論する日本の弁護士6人が書いた本だ。著者たちは「請求権協定は外交保護権が消滅したことを意味するだけで、個人の賠償請求権は依然として有効だ」と強調する。この主張は、韓日請求権協定を締結した当時の解説書と日本官僚の言葉などで裏付けられている。  同書で著者たちは韓国と日本の徴用工事件の判決を法曹家の冷徹な目で分析している。一方、1910年の韓日強制併合条約から歴史的な会談を振り返る部分は、歴史資料を読むかのように繊細かつ慎重に描かれている。韓国と日本にそれぞれ情報公開請求をして真実を知ろうとする努力からは、事件を暴くジャーナリストの姿も垣間見える。彼らが紹介した徴用工の物語は、まるで小説のようでもある。  1945年に解放される2カ月前、「日本製鉄徴用工事件」の2人の青年は咸鏡北道清津(チョンジン)の製鉄所建設現場にも強制徴用された。1日12時間土木工事に動員され、賃金はこの時ももらえなかった。著者たちはこう日本を批判する。強制徴用被害者の賠償問題を遮断した「韓日請求権協定」は完全ではなく、彼らの戦いもまだ終わっていないと。 イ・ジョンギュ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

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