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年長組の頼もしい「お兄さんお姉さん」が「小1プロブレム」を起こす理由

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小1プロブレム?

 幼保小連携が言われるようになって久しいですが、多くの学校現場や幼児教育・保育の現場を訪れる中で、長らく、ずっと気になっていることがあります。  幼保小連携が求められるようになった背景には、いわゆる「小1プロブレム」と呼ばれる問題があります。小学校に入学したばかりの1年生が、集団行動ができないとか、黙って座って授業が受けられないとかいった“ 問題” です。  これは、家庭のしつけが不十分だったり、自己コントロール力が未発達だったりすることが主な理由だと言われています。でも私は、正直なところ、それは子どもたちを“ 管理” する大人側の勝手な言い分だと考えています。

信頼して、任せて、待って、支える

 世界中の幼児教育や保育の現場では、基本的に、子どもたちの主体性を尊重した実践が目指されています。「信頼して、任せて、待って、支える」。これが教育の基本中の基本であると私はいつも言っていますが、幼児教育や保育に関わる先生方にとっても、これはやはり基本中の基本です。何でもかんでも大人の言う通りに従わせることが、教育の本質ではないのです。  とりわけ幼児教育に絶大な影響を与えた、有名なモンテッソーリ・メソッドの生みの親、マリア・モンテッソーリは、100 年以上も前にこんなことを言っています。子どもたちを、大人が決めた規律で縛りつけること、管理し統率すること、それは、子どもたちを規律正しくしているように見えて、実は命令されたことしかできない「無力」な存在にしてしまっているだけなのだ、と。  実際、保育園や幼稚園の子どもたちは、年長さんにもなると、お兄さんお姉さんとして年下の子たちの面倒を見たり、お手本になったりと、園を引っ張っていく頼もしい存在になります。信頼して、任せて、支えられるからこそ、子どもたちはたくましく自らを成長させていくのです。  ところが、今なお多くある、規律に厳しい“ 統率的” な小学校の先生のクラスに入るやいなや、子どもたちはその主体性をいくらか奪われてしまうことになるのです。それまでお兄さんお姉さんとしての自覚を育んできた子どもたちは、いつのまにか、何もできない、時に箸の上げ下げにいたるまで「先生の言う通りに」行動しなければならない存在として扱われるようになるのです。  「手はお膝!」「お口にチャック!」そんな声が教室中に響き渡ります。子どもたちは、毎日毎日、教師の指示通りに行動することを要請され続けることになるのです。  ここには、幼児教育や保育と、小学校教育との間の大きなギャップが存在します。