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全国の花火大会は9割中止という寂しい夏 代わりに線香花火が売れている

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デイリー新潮

 新型コロナの影響で、年内に予定されていた全国約220カ所の花火大会のうち、およそ9割が中止になったという。当然ながら花火師たちも窮地に追い込まれている。収入はほとんどゼロになったという……。  ***

 日本三大花火の新潟「長岡まつり大花火大会」と秋田「大曲の花火」(全国花火競技大会)が中止となり、残る茨城「土浦全国花火競技大会」は延期され、今のところ11月7日に開催される予定となっている。三大花火の中で最も歴史の古い長岡花火は、戦前の1879年に始まったが、中止となるのは、太平洋戦争中を除いて初めてという。  中止となった主要な花火大会は以下の通りである。

元に戻るのに5年

「売上は、前年度比マイナス95%となりました」  と語るのは、長岡まつり大花火大会に花火玉を出品している小千谷煙火興業の瀬沼輝明専務。 「花火は、昼の運動会だけになって、夜の花火は一切なくなりました。4月16日から休業、花火の製造をストップしました。最近、小さな花火大会も入ってきたので、9月21日から事業を再開しますが、元に戻るには5年かかるでしょうね」  5年の根拠はなにか。 「日本航空の社長は、国内線が元に戻るには1年、国際線は4、5年かかると言っています。知人の免疫が専門の医者によれば、コロナウイルスのワクチンができるまでに2、3年かかり、特効薬ができるまで5年かかるそうです。5年経っても、コロナ前に戻るかどうかわかりませんが、前向きに考えるしかありません。うちには土地があるので、農業でもやろうかと思っています。先々代の話では、明治時代の花火業者は、朝は花火を製作し、昼から他の仕事に従事し、夜に花火を打ち上げていたそうです。花火の仕事は道楽だったとかで、そう考えれば気も楽になれますよ」(同)

日本の花火を輸出

 三尺玉の場合、製造は、打ち上げ日の1年半前から始め、完成までに半年かかるという。 「火薬庫には、2、3年分の花火玉のストックがあります。花火の賞味期限は3年で、消費期限は5年。5年で戻らなかったら、廃棄するしかありません。ちなみに花火玉の価格は、3号玉(直径9センチ)で3500円、5号玉(15センチ)で1万2500円、10号玉(尺玉30センチ)で5万円、二尺玉(60センチ)で60万円、三尺玉(90センチ)で150万円、四尺玉(120センチ)で200万円となっています」(同)  現在、欧米諸国が輸入している花火の95%は中国産だという。 「昭和40年(1965)に日本が中国に花火の技術提供を行ったからです。それ以来、中国産の花火が欧米へ輸出されるようになりました。元々日本の花火は、昭和初期から昭和30年まで、世界で70%のシェアでした。今、アメリカと中国は貿易戦争をしていますからね。日本の花火をアメリカに輸出してはどうかと考えています。世界一精巧な花火を日本ブランドとして売りたいですね」(同)  花火業者が加盟する日本煙火協会によると、 「打ち上げ花火やおもちゃ花火の業者は321社。そのうち、打ち上げ花火を製造する業者は125社、花火の打ち上げだけを行う業者は140社です。今年の花火大会は9割が中止となりましたが、来年については予想もつきません。海外でも花火大会は中止となっているので、輸出も難しいでしょう。政府から助成金がでると助かるのですが……」  5月には、秋田県大仙市のNPO法人「大曲花火倶楽部」が中心となって花火業者を支援する「日本の花火を愛する会」が設立された。同会の事務局によれば、 「6月1日から7月10日まで、クラウドファンディングで資金を集め、『大曲の花火』に参加したことのある29都県の81業者に、全国65カ所で花火を打ち上げていただくことになっています。打ち上げ時間は10分以内で、時期は8月下旬を予定していますが、具体的な日時は、密を防ぐため直前まで公表しません。募金の目標額は、「いいはなび」の語呂合わせから1187万3000円としていましたが、すでに約1600万円集まりました」  全国花火競技大会で数々の入賞を果たしている山梨県の花火製造業者は、地元の企業とコラボすることで、コロナ禍を乗り切ろうとしている。 「花火大会が9割中止となったため、売上は9割減となっています。とはいえ、何もしないわけにはいきません。地元の市川三郷町にあるニット業者のマスクや花火をあしらったマスクジャケット(マスクの上に被せる)などを5月から、うちのオンラインショップで販売しています。地元では和紙業者もあるので、和紙で作ったマスクも売っています」  と語るのは、マルゴーの齊木智社長。同社は、玩具の花火も製造販売している。 「数年前から手作りの和紙で作った線香花火をオンラインショップで売っているのですが、今年は爆発的に売れています。例年の数倍ですね。花火大会が中止となったため、自宅で花火を、というわけでしょう。コロナが過ぎても、従来のような規模の花火大会は難しいかもしれません。今後は、なんとか密にならない花火大会を考える必要がありますね」 週刊新潮WEB取材班 2020年7月31日 掲載

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