「タワマンを7,000万円で買ったら…」千葉県湾岸エリアの悲劇
コロナ禍にあって、住宅ローン返済の負担にあえいでいる人も多いと推察されます。実は住宅購入による家計の負担は、購入者の懐具合だけでなく、その時代の経済情勢によっても大きく異なり、現在とバブル絶頂期にあった1980年代を比較してみれば、その違いは明らかです。本記事では、過去30年間の新築マンション価格と住宅ローン金利、一般サラリーマンの給与の推移を見ながら、住宅購入の家計への負担についてシミュレーションしていきます。
株価は乱高下も、住宅ローンは「安定の低金利」
アメリカのバイデン新政権発足、各国による新型コロナウイルスへの総力対応など、世界は相変わらずあわただしい動きを見せています。それらを背景に、株式市場は実体経済に伴わない激しい値動きで、予断を許さない状況です。では、金融機関の融資金利はどうかというと、ほとんど変動していません。とくに住宅ローン金利(店頭・変動金利)は、バブル経済の崩壊とともに急降下したあと、20余年の長きにわたり緩やかな下降を続け、現在は年利2%台から上がらず下がらず、そのポジションをしっかりキープしています。 住宅ローンは、借り入れの際に固定金利と変動金利のいずれかを選ぶことができます。固定金利は完済までの支払い総額が概ね読めるので長期のライフプランが立てやすい一方、不景気に見舞われて想定外の給与減額やボーナスカットに遭っても、経済状況にそぐわない高金利のまま返済を続けなくてはなりません。それに比べて変動金利は、景気の状況に合わせて金利が変更されるので、経済状況に見合った返済額でムリなく支払いを続けることができます。 バブル崩壊以降に変動金利を選んで住宅ローンを組んだ人はラッキーです。なぜなら、日本で住宅ローン制度が始まった1950年代まで遡っても、この20余年間が一番低金利なのですから。逆に、バブル期真っ只中に固定金利で住宅ローンを組んだ人は、現在厳しい状況に陥っていると思われます。支払いが数か月滞った末、マイホームが競売に出されてしまったというケースもよく聞きます。 バブル期にマイホームを購入した世代は、好景気の恩恵を受けて高収入を得ていた、当時30歳代から40歳代のサラリーマンで、現在60歳代から70歳代の人たちです。多くのサラリーマンが現在の給与水準以上の収入を得ていたと思われるこの時期、都心の一等地では最新設備を網羅したハイスペックマンションや眺望豊かなタワーマンションの建設ラッシュがはじまりました。その波は東京だけでなく、神奈川・千葉など首都圏へも広がっていきました。