バルセロナOP優勝で見せた錦織の成長力
「復帰はいつになるかわからない」というデ杯前の言葉から、クレーシーズンは絶望かとも思われたが、翌週には待ちきれないように練習を再開した姿の映像をフェイスブックで公開。それからバルセロナへ出発するまでの1週間、錦織いわく「かなり追い込んだ練習」をしたという。それを可能にさせたのは、体と心の両面の成長にほかならない。 これで世界ランキングは12位に浮上。一度は離れていったトップ10からの距離は再び縮まった。トップ10入りを間近にしてプレッシャーに負けた前回の失敗を、錦織はもう繰り返さないだろう。全仏オープン開幕まで1ケ月。このあとマドリード、ローマ、とマスターズシリーズ2大会を経てロランギャロスに乗り込む。パリのファンは、クレーで実績があり、クレーの戦い方を知っている選手が好きだ。全仏では昨年のベスト16が最高の錦織も、きっとこれまで以上に温かく迎えられるに違いない。その中での疾走が楽しみだ。 (文責・山口奈緒美/テニスライター)