廣瀬日本製鉄副社長、中国の4・5月粗鋼生産急増で「前年レベルまで戻すには6月以降、月1000万トン減産必要に」
日本製鉄の廣瀬孝副社長は16日、中国の粗鋼生産が4月、5月と急増したことについて「中国政府は減産政策を維持しており、6月以降は減産ペースに戻るのではないか」と述べ、引き続き中国の生産動向を注視していく考えを示した。同日開かれた鉄鋼産業懇談会(鉄産懇)の終了後に記者団に語った。 中国の1~5月の粗鋼生産量は約4億3500万トン。前年同期の水準を下回っているものの、1日当たり生産量が311万トンに達した5月の生産ペースが続けば22年通期では11億トン規模となり、21年の10億3千万トンを上回る計算。廣せ氏は「6月以降(足元の生産ペースに比べ)月間1千万トンの減産が必要になる」と指摘。その上で「(ロックダウンの影響で)停滞気味の中国の鋼材需要がどう正常化するのか、原材料・資材価格の高騰がどう影響するのか、といった点を注視していきたい」と語った。 国内の鋼材需要環境については、鉄産懇会長として「需要部門によって濃淡がある。住宅、産業機械は引き続き堅調だが、自動車は回復が遅れている」との見方を示した。海外マーケットで安値輸出が出ていることについては「原料高の現状では厳しい収益水準になっているはず」とし、安値販売は長続きしないと指摘した。