クリーンな業界願う叫び? 山田孝之、斎藤工、池田エライザ…“俳優監督”相次ぐ理由
近年、山田孝之、のん、斎藤工、池田エライザなど、監督業に挑む俳優が増えている印象だ。過去には桃井かおりや黒木瞳、浅野忠信らも監督に挑戦しているが、北野武に次ぐヒット作は数少ない。ハリウッドや海外に比べて労働環境が良くないと言われる日本の映画界で、今春には性加害報道が相次いだ。VODが乱立し、エンタメ界が過渡期を迎えている今、“俳優監督”は業界を変える新風となるのだろうか。 【写真】胸元ざっくりドレスで“爆弾ボディ”あらわな池田エライザ スラリ美脚も ■ジョニー・デップやアンジェリーナ・ジョリーも苦戦、“俳優監督”ヒット作の壁 6日からSeason3が公開された、山田孝之らが発起人を務めた短編映画製作プロジェクト『MIRRORLIAR FILMS』では、山田をはじめ、阿部進之介、安藤政信、志尊淳、柴咲コウ、水川あさみ、三吉彩花、ムロツヨシらが映画監督に初挑戦した。 また、WOWOW開局30周年を記念して企画された『アクターズ・ショート・フィルム』(2020)では、津田健次郎、柄本佑、森山未來、磯村勇斗らが短編映画監督に挑戦。今年2月の第2弾では、永山瑛太、千葉雄大、前田敦子らが監督を務めた作品を発表。全作品が「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2022(SSFF & ASIA 2022)」ジャパン部門にノミネートされた。 のんや池田エライザら若手俳優も数年前から監督業に精を出しており、原案から配役、脚本なども自ら手掛けている。さらに、今年のプルーリボン賞受賞を受けて、岡田准一が「65歳までには監督をやりだすかも」といった発言も話題に。過去には、津川雅彦や田口トモロヲ、桃井かおり、小栗旬、黒木瞳、オダギリジョー、水谷豊、浅野忠信らも監督業に挑戦しているが、北野武や竹中直人、故・伊丹十三さんのように、ヒット作や国際的評価を獲得した俳優監督は数少ない。 これらの動きは海外では古くからあり、ジョニー・デップやアンジェリーナ・ジョリーなど、数多くの名優陣が監督業に挑戦している。制作陣に声をかけられなければ立つ舞台がない役者が、好きな作品を好きなように作りたいと思うのは全世界共通で自然なことだろう。だが、ジョニー・デップほどの役者でも、脚本・監督・主演を担った『ブレイブ』(1997)はヒットに至らなかった。 興行収入、話題性、映画ファンからの好評という意味で成功したと言えば、クリント・イーストウッド、ロバート・レッドフォード、ベン・アフレックらの名前が挙がる。「あくまでも一部の成功例からの結果論に過ぎませんが」と前置きするのは、メディア研究家の衣輪晋一氏。 「イーストウッドは1970年代から監督を務めていますが、彼はエンタメ系俳優であることで批評家から酷評もされていたフラストレーションがまずありました。自身がオスカーを取れないことに関しても『自分がユダヤ人ではないから。またアカデミーの老害に(軽薄な映画で)金を作りすぎるから。重要なことに審査員と寝てないから』と毒を吐いていた。内にルサンチマンや暴力性を秘めているという意味では武さんも同様。“映画を創りたい”と考える心の土壌が伝統や歴史、お歴々に爆撃された焼け野原であることは、創作者が成功する一つの条件かもしれません。韓流映画が強いのも同じ理由もあるでしょう」(衣輪氏/以下同)