【明治神宮大会】横浜「1000回に1回」内野5人シフトの狙いは 甲子園の早実とは性質異なる
<明治神宮大会:横浜3-1東洋大姫路>◇高校の部◇準決勝◇23日◇神宮 横浜(関東)が延長10回タイブレークで「内野5人シフト」を決行し、試合にも11回の末に勝利した。 同点の延長10回裏、1死満塁。横浜・村田浩明監督(38)が動いた。9番の右打者・阪下を打席に迎えたところで、左翼手を林田滉生内野手(1年)に交代し、二塁ベース後方を守らせた。 この夏、早実(西東京)が甲子園3回戦の大社(島根)戦で内野5人シフトを敷いた。スクイズ阻止のために投手と三塁手のほぼ中間に外野手を守らせ、見事にピンチを阻んだ。 この日の横浜のシフトは早実のそれとは性質が異なる。「相手打者の分析もしていて、(右打者の阪下がレフトへ)引っ張れないと思っていたので」。打球が飛ぶ可能性が少ないレフトは空き家にして、センター前に転がるリスクを減らす。二塁ベース後方に1人置くことで、二遊間もそれぞれ一塁側、三塁側に少しだけケアの範囲を広げることができる。 内野5人シフトを敷いた上で、左腕の奥村頼人投手(2年)は阪下に直球のみ4球勝負。最後はこの日最速144キロで空振り三振にすると、2死満塁で村田監督は林田から江坂佳史外野手(1年)に交代した上で、左翼の定位置に戻した。次打者も二塁ゴロに打ち取り、切り抜けた。 昨秋、三重県で行われた「くまのベースボールフェスタ」の敦賀気比戦でも、一、二塁間に3人を配置し、ホームゲッツーを成立させた“実績”があるという。 とはいえ村田監督いわく「100回に1回とか、1000回に1回とか、そういうプレー」。それを「練習もしています。それが当たり前にできたので、なんかあんまり違和感はなかった感じですね」と落ち着いて振り返った。 村田監督が最前線で見つめた一塁側ベンチから、がら空きの左翼ポジションはどう見えたのか。 「選手も勝負してるので。自分も勝負しないとかみ合ってこないんで。負けたら自分の責任。数々と、いろいろ悔しい思いをしてきた中から得られたこともすごくあって。割り切るのも勝負ごとには大事だと思っているので。データはしっかり取って、あそこには飛ばない、ということでした」 ベンチも選手もまた強くなり、横浜が秋の頂点に迫った。【金子真仁】