緊急事態宣言発令がJリーグにもたらす新たな不安
今後に関して一度リセットされた状態にあるからこそ、緊急事態宣言の発出がJクラブにもたらす影響は最小限にとどめられるのではないだろうか。活動停止中は身体だけでなくメンタル面でも低下を招く事態は避けられそうにないが、サッカー界は北海道において新型コロナウイルスの感染をある程度封じ込めたという事例を共有している。 日本野球機構(NPB)と共同で設立した新型コロナウイルス対策連絡会議で招いた専門家チームの一人、愛知医科大学の三鴨廣繁教授(臨床感染症学)は、2月28日から3月19日にわたって、政府に先駆けて緊急事態宣言を発出した北海道の成果をこう評価している。 「薬剤もワクチンもない状態で、いわゆる『三密』を避けることを中心に国民へ行動範囲の自粛、行動変容を求めるしかないのが現実です。ただ、政府も提言しているこの日本モデルを信じて実践し、感染がある程度収まった北海道という先例があると思っています」 実際、北海道をホームタウンとする北海道コンサドーレ札幌のスケジュールを見ると、発表されている11日まではトレーニングを実施し、しかもファン・サポーターの見学を可能としている。来場者への検温やアルコール消毒液による手指の消毒を徹底しての措置だが、サッカーがある日常を送れていることと、北海道での緊急事態宣言の発出とは密接に関わっていると言っていい。 ならば、7都府県でも5月6日を超えた先には同じ状況が待っているのか。残念ながら北海道より1カ月以上も遅い発出で、現状では不安要素が増えたと言わざるをえない。 不安とはアメリカ・ニューヨークやイタリア、スペインで見られる医療崩壊であり、在日アメリカ大使館は日本国内に滞在中のアメリカ人に対して、3日に更新したホームページでこんな警戒情報とともに緊急帰国を呼びかけている。 「日本政府が新型コロナウイルスの検査を広範に行わないと決めたことにより、新型コロナウイルスの感染率を正確に把握することが難しくなっている。数週間後に日本の医療システムが、いままでのように機能しているのかを予測するのは非常に難しい」