緊急事態宣言発令がJリーグにもたらす新たな不安
東京都など大都市圏を中心とした新型コロナウイルスの感染者急増を受けて、7日にも緊急事態宣言が発出される。対象地域は東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県で期間は来月6日まで。新型コロナウイルス禍をめぐる状況は新たな段階に突入した。 6日夜に首相官邸で判断へ至った経緯を説明した安倍晋三首相は、先月14日に施行された改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく緊急事態宣言を初めて発出する理由を「感染につながる人と人との接触を極力減らし、医療提供体制をしっかり整えていくため」と説明した。 安倍首相は同時に欧米で見られる、外出禁止など人の移動を罰則とともに厳しく制限するロックダウン(都市封鎖)ではないと強調。感染を拡大させる密閉・密集・密接の「三密」を防ぐ行動がさらに強化・徹底されていくなかで、サッカー界はどのような影響を受けるのだろうか。 緊急事態宣言を受けて、強制力はないものの、法的根拠を伴う外出自粛要請が出される。ただ、大都市圏をホームタウンとするJクラブの多くは、すでに数週間単位で活動停止状態に入っている。Jリーグの村井満チェアマンが3日の段階で、今後の公式戦再開を白紙とする判断を下したためだ。 例えば4日には浦和レッズが18日まで、湘南ベルマーレが19日まで、柏レイソルは30日までの活動休止を表明。川崎フロンターレも8日までの活動停止を、さらに15日まで延長することを決めた。緊急事態宣言に関わるニュースが午前中から日本中を駆けめぐった6日には、鹿島アントラーズが19日まで、FC東京も当分の間の活動休止を決めている。 2月下旬にすべての公式戦の開催を中断したJリーグは、これまで3月18日、4月3日、そして今月下旬からのカテゴリー別の段階的開催と再開時期を設定しては延期してきた。選手たちは本来の開幕を含めて、その都度心身のコンディションを作り直す作業に追われてきた。 「相当な緊張感や不安のなかでギリギリのコンディション作りに何度も挑戦して、なかにはかなり体脂肪を絞った選手もいると思います。その意味では、選手の免役力を下げてしまったところは選手個人の問題だけではなくて、リーグ全般がケアすべき問題だと思っています」 村井チェアマンはヴィッセル神戸のDF酒井高徳、セレッソ大阪のGK永石拓海、J2ザスパクサツ群馬のDF舩津徹也と選手にも感染者が確認された状況をリーグ全体の問題と受け止めた。 酒井以外にもトップチーム関係者が2人感染したヴィッセルは、7日に予定していた練習再開をさらに延期。セレッソも10日まで、41人の濃厚接触者が確認されたザスパも9日までの活動停止を決めている。