50歳の父が死亡…「俺がいますが」28歳の隠し子登場で騒然
本記事は書籍『相続大増税の真実』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再構成したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、予めご了承ください。
バツイチで、内縁の妻との間に子どもがいる
長男の佐藤さんの両親はすでに他界しており、今回、その佐藤さんが50歳という若さで亡くなりました。佐藤さんは前妻との間に子どもを1人授かり、その後、離婚しています。そして婚姻関係を結んでいない内縁の妻との間に2人の子どもをもうけ、4人で暮らしていました。 佐藤さんの内縁の妻は、自分と2人の子どもが相続できると思っていましたが、佐藤さんの元妻の子ども(28歳)が相続人として現れ、「自分が第1順位の相続人だ」と主張してきたのです。 まず前提として、佐藤さんは生前、内縁の妻との間に生まれた2人の子どもを認知していませんでした。認知とは法律上、婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもを父親が「自分の子どもである」と認めることをいいます。 この認知がなされていない場合、内縁の妻との間に生まれた2人の子どもは相続人とみなされません。さらに佐藤さんの妻も婚姻関係を結んだ夫婦ではなく、内縁関係だったため、法定相続人とは認められないのです。よって、被相続人である佐藤さんの相続人は元妻との間の子ども1人だけになるのです[図表]。 したがって何も対策をせずに相続を迎えた場合、佐藤さんの財産全額を元妻の子どもが相続することになります。ちなみにこの場合の相続税額は680万円となります。
まさか…死後に「認知」は可能なのか?
●被相続人の死亡後にできる方法 佐藤さんが亡くなったあとでも、内縁の妻との間にもうけた2人の子どもを認知できます。子どもの住所地を管轄する家庭裁判所に「死後認知の訴え」を起こして、認知を認める判決をもらい、確定判決書の謄本を添えて役場に「認知届」を提出します。 認知がなされれば民法上の子どもとなるため、相続の権利が発生します。非嫡出子の相続分は嫡出子と同等です。 非嫡出子(婚外子)とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子どものことです。佐藤さんの内縁の妻との間の2人の子どもは非嫡出子(婚外子)にあたります。一方の嫡出子(婚内子)とは、法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子どものことです。 こうして婚外子の2人の子どもが認知されると、今回の相続人は元妻との間の子ども1人、認知された子ども2人の合計3人となります。ちなみにこの場合の相続税額は、329万7000円となります。 「死後認知」の方法として現在では、DNA鑑定があります。父本人の遺髪などが残っていなければ、父の親族と、子とのDNA鑑定が用いられます。父の親族がDNA鑑定を拒否した場合、子は父の子に違いないと裁判官に確信してもらえるような種々の書類を提出することになります。