解説者も「恐れおののいた」超リアリスト・小林剛の麻雀観でラス回避率100%継続中/麻雀・Mリーグ
超リアリストの強みを存分に見せつけた。プロ麻雀リーグ「大和証券Mリーグ2020」1月5日の第2試合に出場して2着となったU-NEXT Pirates・小林剛(麻将連合)が、開幕から14戦連続でのラス回避を達成。メンゼンで一発逆転のロマンを追い求めることなく、仕掛けを入れてシビアに点棒を確保しようとする姿勢に、解説を務めた渋川難波(協会)は「恐れおののきました」と脱帽した。 【動画】解説者も驚く小林剛の打ち筋 2020シーズンはここまで13試合に出場してトップ4回、2着6回、3着3回と全30選手中、唯一ラスを引いていない小林。平均着順は驚異の1.92、個人スコアでもKONAMI麻雀格闘倶楽部・佐々木寿人(連盟)に次ぐ2位と、昨期優勝チームの頼れる船長としてその強さを存分に見せつけている。この日の対局でも、序盤は2度の満貫をアガってトップ目を快走。しかし中盤に落とし穴が待っていた。 東3局、東4局と珍しい連続放銃で3着目に転落すると、南場にセガサミーフェニックス・茅森早香(最高位戦)の追い上げを受け、親番の南3局を迎えた時点でまさかのラス目に転落。視聴者からは「ロボ大ピンチ」「ついにラスか」「初ラスあるかも」といったコメントが寄せられ、実況の小林未沙と解説の渋川の間にも「初めての4着もあり得る?」という空気が広がった。 南3局の小林は、5巡目でタンヤオ・赤が確定したイーシャンテンとなる。リーチをしてツモれば1万2000点とラス目から一気にトップに迫るチャンス手だけに、渋川は「いくら小林選手でも点棒状況的には絶対に鳴きたくない」と解説。しかしそのわずか2巡後、小林は場に放たれた5索に迷わずポンの声をかけ、五・八万待ちの2900点のテンパイに構えた。 満貫を狙うのではなく、1400点差と目先の目標である茅森を抜いて3着目に浮上しようという現実的な選択。これが功を奏し、小林はEX風林火山・二階堂亜樹(連盟)のリーチ直後に赤五万をツモって望外の6000点(+供託1000点)を加点する。このアガリによって3着目に浮上し、さらにオーラスの二階堂の放銃によってわずか600点差で2着に滑り込んだ小林。今シーズン初のラスどころか、チームにしっかりとプラスポイントを持ち帰ることに成功した。 試合終了後、小林に南3局の仕掛けの判断について話を聞いた渋川は、「たぶんあの巡目なら両面(五・八万)からでもチーした」という本人のコメントを紹介。ロマンとは無縁の超リアリスティックな麻雀観に「恐ろしい人ですよ。このシビアさが強さの秘訣なんだなと。恐れおののきました」と脱帽するほかない様子だった。 副露率30%前後の積極的な鳴きでアガリ率を高めることを重視する小林のスタイルは、この日の第2試合でトップを獲得した副露率8%の超メンゼン派であるTEAM雷電・黒沢咲(連盟)とは真逆とも言える。それでも両者が好結果を残し、直接対決でも拮抗した戦いを繰り広げているのが麻雀の面白いところだ。涼しい顔でピンチを切り抜け、淡々とポイントを稼ぎ続ける小林に土がつくことはあるのか。その驚異的なラス回避率に引き続き注目していきたい。 ※連盟=日本プロ麻雀連盟、最高位戦=最高位戦日本プロ麻雀協会、協会=日本プロ麻雀協会 ◆Mリーグ 2018年に発足。2019シーズンから全8チームに。各チーム3人ないし4人、男女混成で構成され、レギュラーシーズンは各チーム90試合。上位6チームがセミファイナルシリーズ(各16試合)、さらに上位4位がファイナルシリーズ(12試合)に進出し、優勝を争う。 (ABEMA/麻雀チャンネルより)