【白井便り】競馬学校で調整中の米国牝馬はメンタル強固、阪神JFを盛り上げてくれそうです
“ゴリアット狂騒曲”に巻き込まれる数時間前、実に穏やかな朝を過ごしてきました。23日、阪神JF(G1、芝1600メートル、12月8日=京都)参戦に向けて、競馬学校(千葉県白井市)で検疫を受けている米国馬メイデイレディ(牝2、J・リー)の調教を見てきました。BCジュベナイルフィリーズターフの2着馬で、4戦3勝で、鞍上はデットーリ騎手で…。人気を集めると思います。 同馬を管理するのはジョセフ・リー師。ゴドルフィン在籍時に担当馬ハートレイクと安田記念を勝利し、その後は日本の牧場でも競走馬の育成に携わっていました。義父は加賀武見元師です。日本の競馬への理解も深く、今回の挑戦は勝算あり、とみているようです。先日のBC取材で、リー師は「2戦目のケンタッキー(ケンタッキーダウンズジュベナイルフィリーズ1着)は馬場が硬かったからね。メイデイレディは硬い馬場を好むんだ」と話していました。 防疫の観点から直接取材はNGなので、この日は本当に調教を見るだけ。普段、騎手候補生や厩務員課程の生徒が使うダートコースをダクで1周、軽いキャンターでもう1周。時間をかけて、ゆっくりと調整を行いました。1周1400メートル。彼女1頭だけだと、広すぎるようにも映ります。 2歳牝馬が1頭で空輸され、連日調教をこなすのはきっとメンタルの強さがないとできないこと。しかも、貨物便の都合で米国→成田空港→競馬学校→京都競馬場と、来日後も陸路での長距離輸送が待っています。心身の負担を承知の上で来日したのは、よほど日本の馬場への適性が高いと見込んでいるからに他なりません。 調教役は長男のジョセフ・リー助手(※お父様と名前が同じ)が務めています。この日の調教後、リー助手は「調子は普段と変わらず、調子が良いです。カイバも全部食べてくれています。この馬のストロングポイントは精神面です。2歳牝馬とは思えないような落ち着きがあり、どこの競馬場に遠征しても彼女の実力を出し切ることができます」とJRAを通じてコメントを出しています。 先週のマイルCSに出走したG1・3勝馬チャリン(5着)は先日、欧州最優秀古馬に選出されました。いよいよ明日に迫ったジャパンCにはオーギュストロダン、ゴリアット、ファンタスティックムーンの欧州強豪3頭が参戦します。史上初めて外国馬を迎え入れる阪神JFも盛り上がること間違いなしでしょう。まずはレースまで、無事に調整が続くことを願いたいと思います。【松田直樹】