倉田真由美さん、夫との最後の旅行「サバの塩焼き定食を完食した夫を見て嬉しかった」ちょうど一年前の思い出
食が細くなっていた夫
腹水が溜まり始める直前のこの時期、夫の食はかなり細くなっていました。自宅でも結構食べる時、食べない時の差があり食べすぎた時は大抵お腹が痛くなり苦しんでいました。 でもこの旅行では夕食前に自分でカレーをよそって食べ、大好きな駄菓子をボリボリ齧っていましたが、いつもの腹痛は出ませんでした。夫が旺盛な意欲で食べる姿を、「来てよかったな」と感じながら眺めたことを記憶しています。 翌日チェックアウトを済ませ、電車で帰宅の途につき、途中品川駅構内で昼食をとりました。夫が普段滅多に食べたがることがない「サバの塩焼き定食」を完食して、とても嬉しかったのは忘れられません。家ではご飯を一膳食べ切ることはほぼなかったのに。 ただ普段と違うところで寝た、というだけに近い旅行でしたが、家での日常と違いこうも鮮やかに記憶に残る風景があります。いつも一緒に過ごしている相手とこそ、旅に出て日常と違う一日を混ぜ込むことに大きな意味がある気がします。 倉田真由美さん、夫のすい臓がんが発覚するまでの経緯 夫が黄色くなり始めた――。異変に気がついた倉田さんと夫の叶井さんが、まさかの「すい臓がん」と診断されるまでには、さまざまな経緯をたどることになる。最初は黄疸、そして胃炎と診断されて…。現在、本サイトで連載中の「余命宣告後の日常」以前の話がコミック版で無料公開中だ。