五輪組織委の高橋尚子理事が選手の心情代弁「アスリートは自分たちが特別とは思っていない」
東京五輪組織委は22日、都内で理事会を開催し、橋本聖子会長(56)が就任後に、ジェンダー平等の観点から新たに選出した12人の女性理事が参加した。シドニー五輪女子マラソン金メダルの高橋尚子理事(48)も初出席した。 高橋理事はこれまで組織委のアスリート委員長として活動してきた経験から、選手の心情を代弁。コロナ禍で、五輪への思いをストレートに言葉に出しづらい状況を踏まえ「(五輪で)頑張ります、と今言うのは批判の的になったり、『やることが前提?』となる難しい局面に立っている」と指摘。その中で「アスリートは自分たちが特別だとは思っていない。応援への感謝を還元して、(逆に)社会を応援することを強く考えている。アスリートだけが輝くのではなく、社会が気持ちを一つにしていくことが大切。目線を同じくしていけるような発信を考えている」と、社会の一体感醸成に力を入れていく考えを示した。 今回の理事会ではジェンダー平等推進チームの活動内容の報告を受け、活発な意見交換もあった。「(ジェンダー問題は)4か月、5か月で解決する問題ではない。東京大会を経て、社会でどう変化があるか、5年後、10年後にスポーツ界が変わったと言える大会になるよう、着実に進んでいる」。また、海外からの観客受け入れを正式に断念したことについては「今と2000年(シドニー五輪)の現状は全く違う。英断と感じている。選手、国民がこれなら安心でいいね、という環境作りを考えると、今回の決断でよかった」と支持した。
報知新聞社