北朝鮮の14人「機密情報を漏らす」と米企業脅して130億円…偽の身分証でリモートIT技術者に
【ロサンゼルス=後藤香代】米司法省は12日、身分を偽って米企業や非営利団体に勤務し、北朝鮮に送金したとして、同国籍の14人をミズーリ州の連邦大陪審が起訴したと発表した。米国が経済制裁を科す北朝鮮による組織的な外貨獲得活動の一環とみられ、司法省は米国の制裁対象との取引を禁じる国際緊急経済権限法に違反したとしている。
起訴状などによると、14人は中国やロシアに拠点を置く北朝鮮企業の従業員。2017~23年にミズーリ州の住民の協力を得て米国市民を装った偽の身分証明書を使い、米国外にいながらリモートワークのIT技術者として米企業などに勤務した。14人は6年間で少なくとも計8800万ドル(約130億円)を稼ぎ、中国国内の口座を経由して北朝鮮に送金した。米国の雇用主に「機密情報を漏らす」と脅し、金をだまし取る手口を繰り返していた。
米司法省は「北朝鮮は世界中の企業に何千人もの熟練したIT技術者を雇用させ、収益を獲得しようとしている」と警告している。