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「ラグビーを通して広く視覚障害について知ってもらえる機会に」

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Wedge

 空前のラグビーブームが沸き起こったラグビーワールドカップ2019の開催期間中、もう一つのラグビーが開花した。2015年にイギリスで生まれ、国内では2019年1月に活動がスタートした「ブラインドラグビー」である。  初の国際大会となった「国際テストマッチ2019 in JAPAN 日本vsイギリス」が2019年10月13-14日(※)に熊谷ラグビー場で開催された。

 初めての競技、初めての国際大会に向け、ブラインドラグビー日本代表はどのような準備をして臨んだのだろうか。日本代表キャプテンの神谷考柄(かみや・こうへい)に聞いた。 ※(「国際テストマッチ2019 in JAPAN 日本vsイギリス」は、台風の影響により試合は10月14日一日に短縮してすべての試合を行った)

耳を目に、仲間のサポートで激戦区を戦い抜いた高校時代

― 神谷さんは、東大阪市の日新高校出身で弱視ながらも、日本一の激戦区といわれる大阪地区で準決勝まで勝ち上がった強豪チームで活躍されましたが、耳からの情報が頼りだったのでしょうか。 神谷 視覚障害者である僕らの生活は耳からの情報が中心ですので、音はとても重要で目の代わりに耳を使っている感覚です。その耳からの情報に想像を加えて判断をしています。  試合ではボールがどこにあって、誰がどこにいるというのも声とか音などからおおよその位置関係を判断しますし、ボールを持っている相手が近くにいれば、一人だけ動きが違うのでわかりました。  なによりも僕がラグビーを続けることができたのは仲間の声掛けとかサポートのおかげだと思っています。そのときの経験は今回キャプテンという立場でブラインドラグビー日本代表を一つのチームにまとめていく過程で生きてきたと思っています。

すべてが初!日本代表キャプテンとして取り組み

― その経験はどのような形で生かされたのでしょうか。 神谷 高校時代の僕は晴眼の人たちにフォローしてもらいながらプレーをしてきました。あらゆる場面で仲間の声によって状況を判断することが多く、それがなければ試合をすることもラグビーを楽しむこともできなかったと思います。  その僕がブラインドラグビーではキャプテンとしてフォローしなければならない立場になりました。選考会に集まった選手たちは近藤正徳(『失明のリスクを背負いながらラグビー部のキャプテンに』参照)以外はみなラグビーの初心者ばかりです。見えない僕が見えない仲間をフォローしなければならないので、何ができるか考えたところ、まずは勝ち負けよりも、みんなでラグビーを楽しむことに焦点を当てることから始めようと思いました。いかに楽しさを知ってもらうか。試合に出て良かったと思ってもらえるか、それにはいかに信頼関係を築いてワンチームになれるかだと思いますので、そこに目標を置くことにしました。 ― 具体的にはどんな取り組みを? 神谷 重要なことはコミュニケーションの取り方です。集まったメンバーがチームとしてどれだけ信頼関係を築くことができるかがポイントになります。  初期の頃は「パスの声を出せよ」とか、「声を掛け合おう」とプレー以前の根本的なところで声を掛けていたのですが、なかなかそれができませんでした。パスを後ろにしか投げられないなんて、やったことない人たちには複雑な競技に感じて、みんな頭の中がいっぱいいっぱいだったのです。  大会までそれほど時間があるわけではありません。そこで監督やコーチと相談して、練習の前と後や休憩のときなどに心掛けてコミュニケーションの機会を増やすように意識しました。みんなにも声を掛け合うように徹底しました。  晴眼の人たちだってミスは起こります。見えない僕たちはもっとミスが起こりやすい。ですが、意識してコミュニケーションを取っていくうちに自然と練習の中でも声が出せるようになってミスも減っていきました。  それからは短期間にラグビーの理解度が高まって、声掛けの内容が、いま自分がどこにいるとか、ここにパスが欲しいとか、走るコースのやり取りだとか、次のプレーに繋がる内容に変わっていったのです。それが大会でもいい形で出せたと思っています。

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