「黒板の文字が書き写せない」「漢字のへんやつくりが分からない」子どもたち。”読み書き”に必要な能力とは
「どうして読めないんだろう?」「なんで書けないんだろう?」と、悩んでいる子はたくさんいます。学習障害(LD)とは、発達障害の一つです。読み書 【前編】「読む」ことができない学習障害の子に起きていること きや算数といった、学習の特定の分野で困りごとが起こります。 LDの特性による困りごとは、アプローチのしかたで減らすことができます。勉強がうまくいかないのは、その方法が合っていないからです。つまり、自分自身に合った方法がわかれば、その子の学習・生活面の困りごとはずいぶんと減ります。イラスト図解で基礎からわかるLD入門書『学習障害(LD)がわかる本 気づいて、支えるために』より、連載形式で基礎知識や、困りごとに合わせた工夫を紹介します。 今回は、「書く」という困りごとについて解説。 前編<会話は問題ないけれど、文字は読めない!? 「読む」ことができない学習障害の子に起きていること>
黒板の文字を書き写すのが難しい
書くことが苦手かどうかは、子どものノートやテストの答案用紙を見ると気がつきやすいです。書き間違いや形が極端に乱れた字、へんとつくりが入れ替わっている漢字などがよく見られます。特殊音節を無意識に抜かしていたりすることもあります。 書くことが苦手な場合、書くスピードがゆっくりです。ほかの子たちは書き終わっているのに、一人だけ時間がかかることがあります。黒板の文字をどこまで写したのかわからなくなる子もいます。 また、書けていても、読み返すとなにを書いたか本人もわからないことがあります。 ■文字の形の誤り、書き間違いが多い 書くことが苦手なLDの場合、正しい表記がなかなか思いだせません。
漢字の書きとりや長い文章を書くのが苦手
書くことに困難がある場合、特につまずきやすいのが漢字の学習です。小学校低学年で習うシンプルな漢字も難しいことがあります。漢字の音読み・訓読みで混乱する子もいます。学年が進むにつれて漢字の難易度が上がると、さらに負担が大きくなります。 作文や日記などで長い文章を書くことも苦手です。文字を書くこと自体もたいへんですが、接続詞や助詞の使い分けができなかったり、語彙が少なかったりすることが影響します。 そのため、結果として単調な文章になったり、途中で筆が止まったりしがちです。 ■漢字がでてこない 漢字の形は複雑です。「林」や「明」のようにへんやつくりなど、複数のパーツの組み合わせがあります。その形や配置などを覚えられないと、なかなか書くことができません。