“二刀流”盛岡大付の松本裕樹 大谷2世になれるのか?
■二刀流を考える球団は多くない? バッティングの方では、6回に二死一塁の場面で難しいボールをファウルで粘り、最後は外のストレートに逆らわずに三塁線へ。逆転のチャンスを広げた。長打力と、バットコントロール、柔軟さを兼ね備えたバッティングにも非凡さを十二分に見せた。大谷に次ぐ二刀流プレーヤーとしてドラフトにかかるのか?という点も気になるが、片岡氏は、否定的な考え方を持っている。 「バッティングもピッチングと同じで、まだ下半身が使えていない。大谷のように1年目から二刀流にチャレンジさせるような選手ではないだろう。ただ、時間のかかる選手だからキャンプを見た上で首脳陣がどちらかを決めればいいのではないか。大谷はプロ野球界の歴史を変えるような挑戦をしているが、もし投手に専念していたら、もっと勝っていないか? 二兎を追うことで、もうひとつの才能で、もっと残せるはずの結果を無駄にしている気がする。日本ハムで栗山監督だからこそできていること。そういう意味で、二刀流という考えで見ている球団は、そう多くはないと思う」。 ■将来が楽しみな吉田凌(東海大相模) 一方、片岡氏の目に留まったのは、むしろ、8回から東海大相模の3番手としてマウンドに立った2年生の吉田凌だ。縦に落差のあるスライダーを武器に三振を量産してきた“ドクターK”は、2イニングを3奪三振。左、右は違うが、こちらは、そのピッチングスタイルが似ていることから楽天の松井裕樹と比べられている。 「今夏は1、2年生にスカウトにしてみれば気になる選手の多い大会。吉田は上半身と下半身のバランスがよく腕がふれる。松井の高校時代よりも安定感がある。松井は力任せの部分があって、緩急がなく、ちょっと狂うとボールが続くが、吉田のピッチングには緩急があって、プレートさばきも上。2年生としてA級だし来年までどう伸びるかが楽しみな選手だ」。 片岡氏は、吉田に関しては「松井より上」と高く評価した。ネット裏を陣取るプロのスカウト軍団は、1、2回戦が終わると、そのほとんどが、さっといなくなるが、上位候補選手のチェックだけは続くことになる。盛岡大付属の3回戦は8月20日。松本は勝利と共にスカウトたちの評価を高めるピッチングやバッティングを見せることができるのだろうか? (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)