営業キャッシュフローは直接法と間接法の2つがある
38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』がダイヤモンド社から発売になりました。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。 【この記事の画像を見る】 ● 直接法は「ビジネスブロセス」と「仕入先」との 現金収支を表にしたもの 林教授 「営業キャッシュフロー」は、商売によって増えた現金のことだったね。 カノン 会社の「儲け」ですね。 林教授 実は「営業キャッシュフロー」の作成方法は直接法と間接法の2種類があるんだ。 カノン そうなんですね。 林教授 直接法は、前回説明した「ビジネスブロセス」と「仕入先」との現金収支を表にしたもので、間接法は貸借対照表を加工して作成する方法だ。 カノン どちらかを理解すればいいのでしょうか? 林教授 両方がわかって初めて「営業キャッシュフロー」が理解できる。 カノン 両方ですか…。大変そうですけど、頑張ります! 林教授 まずは直接法から説明しよう。 カノン はい。
● 営業キャッシュフローは、 「ビジネスプロセス」の過程で生じた現金収支の差 林教授 繰り返しになるが、これは「ビジネスプロセス」と「仕入先」との間で生じた現金収支を総額で表したものだ。 カノン 先生、ものすごく基本的な質問をしたいのですが、いいですか? 林教授 もちろん。 カノン 営業キャッシュフローの「営業」ってなんでしょうか? うちの会社にも営業部があって、お客様を回って注文をとっています。営業キャッシュフローの営業も同じ意味ですか? 林教授 営業の仕事は、注文を取って商品を売るだけではないんだ。顧客から注文を取り、商品を仕入れ、仕入れた商品を販売し、代金を回収するまでの一連の仕事、つまりビジネスプロセスが営業活動なのだ。 カノン ということは、営業キャッシュフローって「ビジネスプロセス」の過程で生じた現金収支の差額のことなのですか? 林教授 差額だけではなく、営業収入つまり「ビジネスプロセス」から「お金のダム」への入金と、営業支出つまり「お金のダム」から「ビジネスプロセス」への出金を含むのだよ。 カノン そうか! 損益計算書の利益を収益と費用の差額で表しているように、キャッシュフロー計算書も現金収入から現金支出を差し引きする形で収支差額を表しているのですね。 林教授 その通り。 林 總(はやし・あつむ) 公認会計士、税理士 明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授 LEC会計大学院 客員教授 1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。
林 總