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実際の事件からインスパイア!監督が明かす『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』の誕生秘話

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MOVIE WALKER PRESS

「ハリー・ポッター」シリーズのダニエル・ラドクリフが死体役を演じ、大きな話題を集めた『スイス・アーミー・マン』(16)で長編映画デビューを飾った監督コンビ“ダニエルズ”のダニエル・シャイナート監督が、単独でメガホンをとった『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』が8月7日(金)より公開される。 長年ダニエル・クワンとコンビを組んできたシャイナート監督は、「映画はみんなで作り上げるものだから、監督といえども1人でインタビューを受けるのは落ち着かないね」と照れ笑いを浮かべながら、本作が生まれた経緯や信頼できる仲間たちとのエピソードを語ってくれた。 【写真を見る】衝撃の真相はネタバレ厳禁!張りめぐらされた伏線を見逃すな 本作はアメリカ南部のアラバマ州の小さな町を舞台にしたブラックコメディ。練習と称してガレージでバカ騒ぎをしていた売れないバンド仲間のジーク(マイケル・アボット・ジュニア)とアール(アンドレ・ハイランド)、そしてディック(シャイナート)の3人。しかし、あることがきっかけでディックは重傷を負い、ジークとアールはトラブルに巻き込まれまいと彼を緊急病院の前に置き去りにしてしまう。案の定そのまま息を引き取ったディック。殺人事件として警察の捜査が進むなか、ディックの死因をひた隠しにするジークとアールは証拠隠滅を図ろうと奔走。やがて信じがたい事実が明らかになることに…。 実際に起きた事件からインスパイアを受けて作られた本作についてシャイナート監督は、「実際の事件に基づいた映画というのはたくさんあるけれど、どれも死んだ人に対するリスペクトを感じないことが多くて、僕はあまり好きではないんだ。だからこの映画では、外側から事件の上辺だけを見るのではなく、当事者たちがどういう心情だったのかを描いていくことにしたんだ」と、あえて事件についての詳しい調査をせず、自分たちの想像力で物語を構築していったことを明かす。 その脚本を手掛けたのは、シャイナート監督の大学時代からの親友でもあるビリー・チューだ。「大学の脚本クラスで互いのアイデアを発表し合うことがあって、その時にビリーが出したのがこの物語だった。でもクラスメイトはみんなが声を揃えて『そういう映画を作るべきじゃない』と止めたんだよ。当時この事件はよく笑いのネタにされていたからね」と、本作のアイデアが生まれた当初から賛否両論を巻き起こしていたことを振り返る。「でも僕たちは、伝えるべきでないストーリーをあえて伝えることが大事だと思っている。周りからノーと言われればますます描きたくなる(笑)。そういった点では『スイス・アーミー・マン』も同じだね」。 それから数年が経ち、チューが本作を監督してくれる人を探していたタイミングで、シャイナートは再びこの物語と出会うこととなったという。「ちょうど自分の生い立ちを振り返っていた時期で、小規模な映画でも地元のアラバマで映画が撮れることがうれしくて引き受けたんだ」。その頃“ダニエルズ”でも新たな映画を作る話が進んでおり、クワンが脚本を構築している真っただなかだったとのことで「僕がいるとクワンの作業を邪魔してしまうからね(笑)。だから今回はひとりで監督を務めることにしたんだ」と、単独監督に挑んだ経緯が明らかに。 ミュージックビデオやショートフィルムなど、これまで常にクワンとコンビを組んできたシャイナート監督。初めて単独で長編作品の監督をしてみた手応えを訊ねてみると、「一番の違いは、ダン(クワン)とやっている時と違って喧嘩する相手がいないということだね」と微笑む。それでも制作の途中にクワンからアドバイスをもらったとのことで、「彼は編集初期のバージョンを見てすぐに、たくさんのアドバイスとダメ出しをくれたんだ。周りにいたほかの人たちはみんなビックリしていたけれど、僕は彼の言うことに従ってみたんだ。するとすごく良い作品になった。やはりダンの意見は正しいと、改めて思えたよ」と、“ダニエルズ”の信頼関係の強さをのぞかせた。 前作『スイス・アーミー・マン』に続いて、気鋭の映画スタジオA24とタッグを組んだシャイナート監督。「前回は配給だけだったけれど、今回は製作から関わってくれたおかげで、より親密になれたし良い作品が作れたと思うよ」と、作家性を尊重し自由なクリエイティブを認めてくれるA24のポリシーに感謝を述べた。「まるでクラブ活動のような感じで、これまでA24で作品を作ってきたほかの監督たちとも仲良くなれたんだ」と、『ムーンライト』(16)のバリー・ジェンキンス監督や『ミッドサマー』(19)のアリ・アスター監督とも親しくなったことを明かし、「今後彼らとのつながりを活かして、なにかおもしろいことができたらいいなと思っているよ」と目を輝かせた。 文/久保田和馬

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