「ドラえもん」からも学べる借金の恐ろしさ
コロナ禍が長引く中、日経平均株価が3万円台に乗せ、バブル崩壊後の高値を更新し続けている。しかし、空前の低金利や日銀の株式ETF(上場投資信託)買いに支えられた高値相場が崩壊するリスクも高まっている。株式市場では何が起きているのか、金融バブルがはじけたら何が起きるのか、どう行動すべきなのか。異常な金融政策が生んだ金融業界の危うさに迫る小説『Exit イグジット』の著者相場英雄氏、『金融バブル崩壊 危機はチャンスに変わる』の著者であるさわかみ投信の澤上篤人会長と草刈貴弘最高投資責任者の3人が語り合った。鼎談の第2回では、金融バブルが崩壊したときに備える見方、考え方について、3人が議論する。 【関連画像】株高と金融政策、生活防衛などをテーマに鼎談した相場英雄氏(左)、澤上篤人氏(中央)、草刈貴弘氏(写真:北山宏一) (司会はクロスメディア編集部長 山崎良兵) ―「自分が理解できないものに投資してはいけない」と、投資家のジム・ロジャーズ氏が書籍『危機の時代』で語った言葉について前回の記事(「テスラのビットコイン爆買いは“金融バブル”の象徴」下記関連記事参照)で触れました。米国では、コロナ対策の給付金や失業保険などを使って、スマホアプリで株式投資を始める人が増えているというニュースもあります。何が起きているのか良く分からないが、とにかく株価が上がっているので投資しようといった初心者も目立つようです。鼎談の2回目では、リスクも懸念される投資ブームが起きているような状況下で、生活や財産を守るために重要な考え方などについてお聞きしたいと思います。 草刈貴弘氏(以下、草刈氏):2004年頃の話ですが、あるロシア人が米国に視察に行って、景気の良さに驚いて、その理由を聞いたら「家を売り買いしているんだ」という答えが返ってきたそうです。「明らかにおかしい。そんなことで経済は成り立たないだろう」と。「この国はそれで成り立っているのか」と思っていたら、その4年後にリーマン・ショックが起きて経済が崩壊しました。 相場英雄氏(以下、相場氏):経済小説を書く作家という私の経歴もあるのかもしれませんが、よく投資関連のターゲティング広告が送られてきます。「私はこれで短期間に儲けました」という体験談のたぐいが掲載されているちょっと怪しげな広告も少なくありません。先日びっくりしたのは、そんな中に「プットオプション」の購入を勧める広告があったことです。さも、手軽に儲けられる、というような売り文句。これは危ないと思いました。ご承知の通り、プットオプションはリスクが高いデリバティブ商品で、投資教育を受けていない人たちが手を出すべきモノではありません。 ―一般の人が理解しにくいような投資商品でも、儲かりそうなら「バスに乗り遅れるな」とばかりに投資するような状況が生まれているのかもしれません。 澤上篤人氏(以下、澤上氏):投資のプロである我々でも理解できないような状況です。利回りやリスク、そういったことは何も考えていない、としか思えない投資家も見受けられるようになってきています。 相場氏:先日、恵比寿の街で、フェラーリやランボルギーニを乗り回して騒いでいる30代くらいの集団に出会いました。なんだか既視感があるな、と思いました。そう、1980年代後半のバブル時代に見た六本木の街の光景です。そういうおカネの使い方をしている人たちが出始めている。若い人が元気なのは悪いことではないけど、おカネを手にしたときの行動原理は、昔と全く変わっていないのかもしれない(笑)。もちろん、彼らが、元々、富裕層である可能性もありますが、本当のお金持ちは普通ならそんなことをしないはずです。 澤上氏:全くそう思います。昔から成金の資産は軽いと言われています。だからお金が飛ぶようになくなっていく。本当の資産家の資産はもっと重みのあるものです。本当にすごいのは、こういう時に保有株を売って現金化して、しばらく何もしないで待つことができる投資家。金融バブルが崩壊したときには、その現金が大きな力を持つことを知っているからです。そういう人はなかなかいないけど。