経済に暗雲…景気楽観していた韓国政府、今年初めて「経済下方リスク高まった」
韓国政府が今年初めて「経済が下方に向かうリスクが高まった」と診断した。これまで対内外の懸念にもかかわらず、景気楽観論を展開してきたが、ようやく警告灯をつけた。14日の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領弾劾案の国会表決を控えてだ。 企画財政部は13日に発表した「最近の経済動向(グリーンブック) 12月号」で「最近、韓国経済は物価安定傾向が続いているが、対内外の不確実性の拡大で家計・企業の経済心理が萎縮するなど下方リスクの増加が懸念される」と診断した。グリーンブックは経済状況に対する政府の公式評価を反映させた報告書だ。今回のグリーンブックは「弾劾政局」で政府が出した最初の景気診断として関心を集めた。 注目されるのは初めて登場した「景気下方リスク」診断だ。企画財政部は先月のグリーンブックで7カ月ぶりに「内需回復の兆候」という表現を削除した。その代わり「緩やかな景気回復が続いている」という評価は維持した。しかし今月は昨年11月から維持してきた「景気回復」表現を除き、否定的な見方が強まった。先月までの「対内外の不確実性が存在する」という部分は「対内外の不確実性が拡大した」に変えた。 韓国銀行(韓銀)や国際通貨基金(IMF)など国内外経済機関が最近、相次いで来年の韓国の経済成長率予測値を2%前後に引き下げた状況で、初めて景気沈滞の可能性を言及した。キム・サンボン漢城大経済学科教授は「政府の診断が(民間とは違い)期待値まで反映するという点を考慮すると、それだけ経済状況が深刻という意味」とし「正確な景気認識が経済政策を作る出発点だが、弾劾政局に入ってようやく診断基調を変えた」と指摘した。 政府の景気楽観論は「12・3非常戒厳事態」後も変わらなかった。崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政部長官は11日、国会で非常戒厳事態が韓国経済に及ぼす影響は制限的だと説明しながら「景気が鈍化局面とは言いにくい」と述べた。これに対し米外交専門誌ディプロマットは「韓国経済副首相の診断は過度に楽観的」と評価した。 企画財政部は今回のグリーンブックで「弾劾政局」などの状況に言及しなかった。しかし最近の政治的不確実性が年末の消費と投資心理に影響を及ぼす可能性があるとみていると分析される。実際、最近は忘年会などの行事がキャンセルされ「年末特需」が消えている。一部の国が韓国を旅行危険国に指定し、海外観光客も減っている。企画財政部の関係者は「対内外の不確実性には政治的不確実性も含まれる」とし「2016年12月(朴槿恵元大統領の弾劾)当時の状況を考慮した」と説明した。続いて「(非常戒厳事態の)衝撃がどれほどあったか、制限的だったなどというのは時間が過ぎて(具体的なデータが出てこそ)判断できるだろう」と話した。ハ・ジュンギョン漢陽大経済学科教授は「最近の株価下落やウォン安、国債利回り上昇などの影響まで反映すれば、今後の景気診断がさらに悪化するかもしれない」と述べた。 不確実性を解消する1次変曲点は14日の国会の選択だ。尹錫悦大統領の弾劾訴追案が通過する場合、混乱は多少落ち着いていく可能性がある。大統領の「腹心」に分類される李卜鉉(イ・ボクヒョン)金融監督院長も「大統領弾劾が予測の可能性の側面で経済に良い」と話したほどだ。ただ、過去と異なる対外状況は変数となる。ゴールドマンサックスは9日の報告書「短い戒厳令事態の余波」で「2004年(盧武鉉元大統領弾劾)は中国景気の好況、2016年(朴槿恵元大統領弾劾)は半導体サイクルの上昇による外部の追い風で成長した」とし「来年、韓国は中国の景気鈍化、米国貿易政策の不確実性という外部の逆風に直面する」と診断した。 一方、崔相穆副首相はこの日、李昌縺(イ・チャンヨン)韓銀総裁、金秉煥(キム・ビョンファン)金融委員長、李卜鉉金融監督院長が出席した中で緊急マクロ経済・金融懸案懇談会を開き、「週末の政治状況を注視し、金融・為替市場の変動性が過度に表れる場合は追加の市場安定措置を適期に施行する」と述べた。