【全編インタビュー】「人間とソフトでは構造が違う」藤井聡太新棋聖が語る“AI将棋、強さの源、到達地点”
「将棋というのはどこまで強くなっても終わりがない」――。史上最年少でタイトルを獲得した藤井聡太棋聖(18)が、日本テレビの単独インタビューに応じました。初戴冠の所感から「AIと将棋」、18歳の抱負まで、大いに語りました。聞き手は桝太一アナウンサーです。
■人間は感覚的に指し手を取捨選択できるのが強み
――改めて棋聖戦を振り返って。 「棋聖獲得後に対局もありましたし、棋聖という肩書きで呼んでいただく機会も何回かあったので、徐々に実感が湧いてきたのかなと。4局通して渡辺先生にこちらが気づいていない好手を指されるような場面もあって、番勝負を通して非常に勉強になりました」 「第1局で非常に難解な将棋でしたが、そこを結果的に勝てたところで、こちらとしては第2局以降いい状態で臨めたのかなと。第3局は本当に(渡辺二冠に)うまく指されて完敗と言える内容でした。少なくともその内容はしっかり反省して次に生かせればと思っていました」 ――棋聖戦第2局での藤井七段が指した一手「3一銀」。AIが6億手読んでようやく最善手であることがわかったという話もあり、話題になりました。 「手が広い、候補手の多い局面ではありましたが、ある意味自分の特徴が出せたところはあると思います。自分なりにその局面をしっかりとらえて指せたことはまあ良かったのかなと。あの局面では激しく攻め合う方針の手もありましたが、実戦の指し手(3一銀)は相手からそれを受け止めて、そのあと反撃に移ろうと。そういう方針のもとに読んでいった結果の手だったかなと思います」 「手が広いので、手の善し悪しというのは難しいですが、自分の特徴が出せたとしたら良かったのかなと思います」
――藤井棋聖はAIも練習の中に取り入れている。 「ソフトの考えを参考にすることで、新しい可能性が見えてくる。自分の将棋の課題や癖のようなものが見えてくるところがあるので、そういったソフトの考えを自分なりに解釈して成長できたなとは考えています。練習として自分で(AIと)指すということはありますが、基本的に自分の読み筋や判断と照らし合わせて参考にすることが多いですね」 ――AIと人間どっちが強いかという話題もあります。 「2017年に当時の佐藤天彦名人と将棋ソフト『ポナンザ』の対局がありました(ポナンザが2連勝)。そこで将棋ソフトの強さというのが示されたのかなと考えています。これからは、対決とはまた違った形での関わりになると思っています」 「人間とソフトでは構造が違うというか、人間は感覚的に指し手を取捨選択できるのが一つの強みかなと思っているので、そういった判断力を自分としても強化していければなと思っています」