米GM、ロボタクシー部門「クルーズ」閉鎖 8年間で数千億円投入
米ゼネラルモーターズ(GM)は12月10日、過去8年間で数十億ドルを投入してきたロボタクシー部門のCruise(クルーズ)の独立した取り組みを終了させ、社内の自家用車向けの自動運転テクノロジーの開発プロジェクトと統合すると発表した。 デトロイトに本社を置くGMは、クルーズのロボタクシー事業への資金提供を中止するとし、その理由を「事業を拡大して競合他社に対抗するには時間がかかりすぎ、コストも過大になるため」と説明した。「この決定は、当社と業界の未来に必要なテクノロジーに注力するためのものだ」とGMのメアリー・バーラ会長兼CEOはカンファレンスコールで語った。 GMが2016年に買収したクルーズは、ソフトバンクやホンダを含む投資家から80億ドル(約1兆2000億円)以上を調達したロボタクシー分野で最も資金力のある企業の1つとして、アルファベット傘下のウェイモと市場の覇権を争っていた。しかし、同社のロボタクシーは、昨年10月にサンフランシスコで女性をはねて引きずる事故を起こして以降に困難に直面した。 クルーズはその後、ウーバーとの協業計画を発表し、ブランドの信頼回復に注力していたものの、GMの経営陣を満足させることはできなかった。 GMのこの決定は、2022年にフォードとフォルクスワーゲンが、合弁会社の自動運転部門Argo AI(アルゴAI)を閉鎖した際の動きを思い起こさせる。その当時、フォードのCEOのジム・ファーリーは、ロボタクシー関連の取り組みはコストが高すぎ、時間がかかりすぎると述べていた。ウーバーも2020年に、テスト車両が歩行者を死亡させる事故を発生させ、ロボタクシーの開発を中止した。 GMのバーラCEOは、クルーズの事故には触れず、会社の資金をより効率的に用いることの重要性を強調した。「競争が激化する市場でロボタクシー事業を拡大するためには、かなりの時間とコストが必要だ。そのため、リソースを統合して効率性を向上させる取り組みのほうが、当社の資本配分の優先順位に合致する」と彼女は説明した。 テスラのイーロン・マスクは、自社をロボタクシー分野のリーダーにする目標を掲げているが、少なくとも短期的にはそれを実現する能力を示していない。一方、ウェイモは、この分野で唯一の大規模プレーヤーとしての地位を確立し、先月はフェニックスやサンフランシスコ、ロサンゼルスで15万人以上の有料顧客を輸送していると発表し、来年には新たな都市への進出と車両台数の増加によって大幅な成長を見込んでいる。また、同社はこれまで、成長計画を妨げるような重大な事故を回避している。
Alan Ohnsman