トランプ氏のエネルギー政策発言に根拠なし、独外務省が異例の反論
(ブルームバーグ): 10日夜に行われた米大統領選討論会で共和党候補のトランプ前大統領がドイツのエネルギー政策を酷評したことに対し、独外務省が反発し、ソーシャルメディア上で鋭く批判した。トランプ氏と欧州の一部主要国との冷めた関係が続いていることを浮き彫りにした。
今回の批判の発端は、トランプ氏と民主党大統領候補のハリス副大統領が直接対決した討論会の終盤での発言だ。トランプ氏はハリス氏をフラッキング(水圧破砕技術を利用した掘削)と化石燃料に反対し再生可能エネルギーを支持する人物として位置付けようと躍起になっていた。
討論会が開催されたペンシルベニア州は重要な接戦州の一つで、フラッキングブームが経済を活性化させてきただけに、エネルギー問題は同州で火種となっている。
トランプ氏は「ドイツはそれを試したが、1年もたたないうちに通常のエネルギー発電所の建設に戻った」と指摘。「われわれはまだその準備はできていない。間違ったビジョンのために国を犠牲にすることはできない」と述べた。
独外務省はこの発言に反発。「好き嫌いはさておき、ドイツのエネルギーシステムは完全に稼働しており、50%余りが再生可能エネルギーだ。また、われわれは石炭火力発電所と原子力発電所の閉鎖を進めており、建設してはいない。遅くとも2038年までには、石炭火力発電は送電網から消えるだろう」とソーシャルメディアに投稿した。
同省はさらに、「追伸:われわれも猫や犬を食べない」と付け加えた。
この追記は、オハイオ州で移民が地域住民のペットを食べているという根拠のない陰謀論をトランプ氏が討論会で口にしたことをやゆしたものだ。米国の選挙戦を巡り一方の味方につくことを避けることが多い同盟国の間では通常、外交上の声明は生真面目な内容が多いが、今回はそれとは一線を画すものとなった。
原題:German Ministry Jabs Trump’s Unfounded Energy, Pet-Eating Claims(抜粋)
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Justin Sink