気づいて!病気や障害の子の隣 寂しさ我慢している「きょうだい児」
事例集をつくり、自治体の取り組みをサポート
日本でも行政による支援が動き始めている。 2015年に始まった厚労省の「小児慢性特定疾病児童等自立支援事業」は、重い病気にかかっている子どもと家族を、都道府県や指定都市、中核市が応援する取り組みだ。この中で、きょうだい支援も行うことができる。 ひがしまつど小児科院長で、千葉県慢性疾病児童等地域支援協議会委員の三平元先生は、現在、厚労省の研究班で、きょうだい支援の事例集をつくっている。 「自治体からは、『具体的に何をすれば良いか分からない』という声が上がっている。そこで、全国できょうだい支援活動を行っている92団体にアンケートし、活動内容とアドバイスなどをまとめています。この事例集を参考に、自治体に事業を行ってもらえたらと願っています」 事例集は、今年度末にできあがり、国立保健医療科学院のWebサイトなどで公表される。
4月10日は『きょうだいの日』
昨年、しぶたねは、4月10日をきょうだいに思いを寄せる日として「きょうだいの日(シブリングデー)」に制定した。日本記念日協会への登録に必要な資金を、インターネットを通じて募ったところ、203人の協力があった。きょうだい支援団体、きょうだい本人、保護者らの他に、「初めてこのような活動を知った」という方もいたという。 「2年目の記念日となる今年は、寄付を募り、全国の主要郵便局に「きょうだいの日」をお知らせするポスターを貼ることを目指します。また、きょうだいの日の文字などが入った飴を10,000個つくり、記念日の説明カードとともに配布する予定です」 スマイルオブキッズでは、かながわボランタリー活動推進基金21より補助を受けて、今年10月にきょうだい支援シンポジウムを開く予定だ。 きょうだいたちのために何かできないか、と活動を続けてきた方々の思いが重なって、大きく輪が広がりつつある。
◇ ◇ ◇ 執筆者:谷畑育子 認定NPO法人スマイルオブキッズ事務局。神奈川県横浜市出身。長女を難治性の小児がん「小児脳幹部グリオーマ」で亡くしたことをきっかけに入職。同法人は、神奈川県立こども医療センターに遠方から入院する子どもと家族のための滞在施設「リラのいえ」の運営を中心として、病気や障害のある子どもと家族への支援活動を行う。理念は「愛する子ども達のために」。支援の必要性を周知することで、子ども達を温かくサポートできる社会を目指す。 --- この記事は、Yahoo!基金主催の 2019年度 「NPOの知らせる力(ちから)プロジェクト」選抜講座の受講者の作品です。 講座は、特定非営利活動法人日本NPOセンターが運営し、朝日新聞ジャーナリスト学校が執筆指導にあたりました。 プロジェクトの趣旨に賛同するYahoo! JAPANユーザーとヤフー株式会社からの寄付金を財源として活用しました。
谷畑育子