【ナチュラル系クリーナーでの正しい掃除法】重曹、セスキ、クエン酸……違いと使い方がわからないあなたへ
重曹、セスキ、クエン酸の「大まかに覚えておきたい性質」
ところで「重曹もクエン酸も全部白い粉で見分けもつかないし、どれに何が効くのか何度聞いても組み合わせが覚えられない」場合、やってはいけないのが「買ってきたパッケージから、より見分けのつかない容器に入れ替えてしまうこと」です。 使い勝手より見栄えを重視するとやりがちなのですが、これは避けた方が無難。
そのうえで ・重曹 ・セスキ炭酸ソーダ この2つは性質が近く、水に溶かすと「(弱)アルカリ性」で、「油や脂やタンパク質のネトネト汚れに効果がある」ものだと覚えておきましょう。 一方、 ・クエン酸 は、水に溶かすと「(弱)酸性」になり、「ゴリゴリに石化したミネラル汚れに効果する」のだと覚えておきましょう。 つまり、手垢汚れにクエン酸をかけても落ちませんし、風呂場の鏡のウロコ汚れに重曹水をかけても基本的には汚れ落ちしないということです。 まぁでも、力まかせにタワシでゴシゴシすれば、タワシの研磨力だけで落ちることもありますので、100%落ちないとは言えないのですが。 いずれにしてもナチュラル系クリーナーは、それ自体プラス何かの道具(スプレーボトルやブラシ等)を組み合わせて使うもの。 いわゆる「吹き付けておけば勝手に落ちる」というのは市販の強力な洗剤の仕事なわけで、さらにいえば「カビ落とし」や「漂白」「消毒」ができるものでもありません。その点も覚えておいてください。 (布に染み込んだ血液汚れに関しては、水に溶かしたセスキ炭酸ソーダ水の中で溶け出してくることなどはあります)
大丈夫? ナチュラル系クリーナーの「誰かが考えた最強の使い方」
さて、冒頭に挙げたようなリール動画など、近年さまざまなSNS経由でナチュラル系クリーナーの”誰かが考えた最強の使い方”的な掃除術が共有される機会が増えています。 泡を放置するとスッキリ落ちる!といったインパクトのある映像やワザがバズりやすい一方で、素直にそれを真似してしまうには危険な内容が含まれていることもあります。 短時間で中毒的に見やすい動画ほど、根拠にまで言及する尺がないものですし、見る人それぞれが、正しい情報かを判断するのは難しいと感じることもあります。 そもそも「ひと手間」かかるナチュラル系クリーナー。 市販の洗剤と掛け合わせるなどしたオリジナル使用法などについては、実行してみる前に、もう一度、ソースのしっかりしたサイトなどで調べる「ひと手間」も、どうかかけていただければと思います。 ──── 藤原千秋 Chiaki Fujiwara 住生活ジャーナリスト、ライター 掃除、暮らしまわりの記事を執筆。企業のアドバイザー、広告などにも携わる。3女の母。著監修書に『この一冊ですべてがわかる! 家事のきほん新事典』(朝日新聞出版)など多数。LEEweb「暮らしのヒント」でも育児や趣味のコラムを公開。