年内で現役を引退するヘスス・ナバス、最後のホーム戦で涙止まらず…「天国のプエルタとレジェスは僕を誇りに思ってくれているはずだ」
年内で現役を引退するセビージャMFヘスス・ナバス(39)が、本拠地サンチェス・ピスフアンでの最終戦を終えた。 スペイン代表として2010年南アフリカ・ワールドカップ、EURO2012、EURO2024で優勝を果たし、下部組織からプレーしたセビージャではUEFAカップ/ヨーロッパリーグを2回ずつ制覇……。スペイン、マンチェスター・シティでプレーしたイングランド、ひいては世界で名声を獲得してきた稀代のサイドアタッカーの引退の時が、いよいよ目前に迫った。14日のラ・リーガ第17節セルタ戦は、ヘスス・ナバスがピスフアンでプレーする最後の試合となった。 この試合で先発出場を果たしたヘスス・ナバスは、右サイドで精力的にプレー。ドリブル、クロス、さらには献身的なディフェンスとチームのために尽くして、70分に交代でピッチから下がった。 交代の際、セビージャの面々、またセルタの一部選手も、フットボール史に残る偉大なるベテランと抱擁を交わしていった。目からとめどなく涙が流れているヘスス・ナバスは、スタンディングオベーションの観客に対して手を振ったり胸のクラブエンブレムを叩いたりし、その後にはひざまづいて、ピスフアンの芝生に口づけをした。なお試合は、セビージャの下部組織出身MFマヌ・ブエノのミドルシュートが決まり、同チームが1-0で勝利している。 キャプテンとしてチームを引っ張るため、世代交代を円滑に進めるために、半シーズンの間だけ愛するセビージャにとどまることを決断していたヘスス・ナバス。セルタ戦後の会見では、自チームの選手たちに伝えるべきことは伝えたと、満足感を表していた。 「この試合の感想? いや、難しいね。様々な感情と思い出が僕の中にある。ただ審判がキックオフの笛を吹いてしまえば、全力を尽くすことは変わらないんだ。いつも通り、僕のセビージャのために、ね。それこそが自分が最後の日まですることなんだよ。チームメートたちには、このエンブレムのために全力を尽くし、献身的にプレーする気持ちを受け継いでいってほしい」 ヘスス・ナバスはこの会見で、すでにこの世を去ってしまった、同世代のセビージャ下部組織出身選手たちの名前も挙げた。2007年に心筋症で亡くなったアントニオ・プエルタ氏、2019年に交通事故で亡くなったホセ・アントニオ・レジェス氏である。 「多くのもの、多くのタイトルを勝ち取って、僕のセビージャを幸せにすることができた。それこそが自分が望んできたことであり、そうするために子供の頃から闘ってきたんだ。僕が胸を張りたいのは、自分が何も変わらなかったことにほかならない。道で会う人たちからは、自分という人間がまったく変わっていないと言われるけれど、だからこそ僕はここまでたどり着いたんだと思う」 「僕は最後の日までサポーター、プエルタ、レジェスのために全力を尽くす。セビージャのユニフォームを着る人たちには、自分みたいにこのクラブのためにすべてを出し尽くしてほしい。この背番号(16番)は神聖なものだ。レジェスの番号だって同じだ。そしてこのクラブ、このエンブレム、クラブのサポーターもすべてが侵しがたい、神聖なものなんだよ」 「僕がつけている16番は、プエルタの背番号だ。僕はこの番号を、誇りや献身、犠牲の精神と一緒に身につけてきた。レジェスについても同じで、僕はこれまでに獲得してきたすべてを彼らに捧げてきたんだ。きっと、プエルタとレジェスは僕のことを誇りに思ってくれているはずだ。だからこそ今、僕は幸せを感じられるんだよ」 「僕はずっと変わることがなかった。僕のセビージャに愛を捧げてきた、普通の人間であり続けたんだ」 腰に爆弾を抱えていることで、一度プレーすれば2日は動けなくなるというヘスス・ナバス。現役最後の試合は22日のラ・リーガ第18節、敵地サンティアゴ・ベルナベウでのレアル・マドリー戦だが、最後までチームに貢献する強い意志を示している。 「これから2日は歩けなくなるし、色々と難しいね。とにかく、今日セビージャに勝ち点3を与えられてよかった」 「僕は12月まではここにいたいと言った。さあ、残る試合はあと一つだ。最後まで、このユニフォームのために全力を尽くさせてもらうよ」