「学術会議はコロナ禍で沈黙」は本当? 自民議員の発言が拡散、本人の真意は
日本学術会議をめぐり、自民党議員の「コロナ禍で学術会議は沈黙していた」というテレビでの発言が拡散している。しかし、学術会議は3月には声明を、7月には提言を出しており、会見も開いて積極的に発信をしている。「沈黙」していたわけではない。発言をしたのは、元上智大学教授(国際政治学)で、学術会議の会員でもあった猪口邦子・参院議員(自民、千葉)。学術会議と与党両方を知る本人に、BuzzFeed Newsは真意を聞いた。【BuzzFeed Japan / 籏智 広太】 ネット上に拡散しているのは、猪口議員がBSフジの「プライムニュース」(10月19日)内で発言した内容だ。 猪口議員は、菅義偉首相が推薦を受けた6人を任命しなかった問題の背景には、学術会議がコロナ禍で役割を果たしていなかったことがあったと指摘した。 「新型コロナウイルス感染症の、本当に大きな苦労の中。特に5月の連休前後ですね。緊急事態宣言もあって、苦労しているとき、この知識の最高峰のところで、専門を生かして医学系であればワクチンがどうなのか。あるいはエンジニアとか工学であれば、ソーシャルディスタンスをとる都市設計とか空間デザインがどうあるべきか」 「あるいは人文社会であればですね、どういう風にどういうふうに人が孤独に向き合うのか。あるいは生活様式が代わっていくのか。こういうことについて分析して国民とシェアして、提言して。ところがその時期にそういう提言がなかったと。なぜ、沈黙した学術会議だったのかということが背後にある。それでは、よく見てみましょうという背景があった」 司会者から「菅首相からコロナの最中に学術会議が役割を果たしていなかったことが任命拒否の理由であるとの説明はなかったのでは」との点を問われた猪口氏は、「理由に直接ではなく背景」と答えている。 この発言はネット上で切り取られ、Twitterなどで拡散。まとめサイト「Share News Japan」は【猪口邦子氏「コロナ禍で苦しい時、知識の最高峰なら提言するはず。ところが提言が無く、学術会議は沈黙していた」】などと伝え、この記事はSNS上で4000以上シェアされている。