なぜ横浜DeNAは9回7得点の猛攻撃でカープ栗林を引っ張り出すことに成功したのか?「誰一人あきらめず最後まで戦った」
先発のピープルズにアクシデントがあった。 3-3で迎えた3回無死一、三塁から林に初球のボール球を投げた直後、ぴょんと小さく飛び上がり、背中から腰付近を押さえるようにして膝から前のめりに倒れて、うずくまり、そのままうつ伏せになって苦悶の表情を浮かべた。体を伸ばしたまま動けない。スタッフに両肩を支えられなければベンチに戻れない状況で、わずか54球での降板となった。 「腰を痛めた。トレーナーの治療を受けて病院へ行く予定」(三浦監督) 急遽、後を任されることになった左腕の桜井は、この日のヒーローとなったカープ売り出し中の20歳の林の内角を突いた。詰まらせながらも、一、二塁間を破られ、さらに続く坂倉に犠飛を許して簡単に2点の勝ち越しを与えた。 4回からは「セカンドスターター」(三浦監督)のロングリリーバーとして中継ぎスタンバイしていた先発要員の京山をマウンドに送った。 その回は、無得点に抑え、2点を追う4回二死一、三塁で、京山に打席が回ってきたが、三浦監督は「4回で3人目。京山に(まだ)引っ張ってもらわないといけない」との意図で代打を送らなかった。 結果はセカンドゴロ。 東京五輪代表に内定した森下は、立ち上がりからボールがシュート回転し、ストレートにムラがあった。伊藤光、オースティンに一発を打たれ、2回にも大和にタイムリーを浴びるなど苦しんでいた。だが、2点を追うチャンスに代打策を取らなかったことで、森下を一気にマウンドから引きずり下ろすチャンスを逃す。ブルペンを消耗させたくないというベンチのプランはわかる。だが、すべてがプラン通りに運べば、コンピューターゲームである。試合には勝負が動く“流れ”がある。”番長”は勝負を見誤った。 森下は、5回から立ち直り、京山は5回に1点、6回にも1点を失った。7、8、9回と繰り出す3投手が全員失点した。 「アクシデントで急遽、予定より(中継ぎ陣の登板が)早くなった。だが、その中でもなんとかしないといけなかった。1点でも(失点を)少なくしていけば打線の状態がいいので。そういうところですね」 三浦監督も不甲斐なかったブルペン陣に苦言を呈した。 連敗を喫したが登板予定のなかった東京五輪代表内定の切り札、栗林を引っ張りだして、しかも失点させたのは、明日の第3戦につながるゲームである。 リーグ戦再開後、いきなり3連敗して9勝6敗3分けで終えた交流戦の貯金を吐き出してしまっては意味がない。打線は当たっている。チームに最下位を抜け出して上位を狙うポテンシャルはある。防御率5点台の先発陣が、どこまで踏ん張れるかがゲームの鍵。その先発マウンドには、4月23日の阪神戦以来勝ち星がなく、10日の交流戦の西武戦で3回持たずにKOされた左腕の坂本を送る。 坂本に修正すべき投球術を具体的に教えた三浦監督は「2つ負けているので、なんとか明日取り返せるようにやるだけ」と誓った。 ベイファンを感動させたゲームの延長戦である。