トランプ氏は「平均的な米国人」 安倍晋三前首相インタビュー(2)
米大統領選の結果をなかなか受け入れないトランプ米大統領。国内外を引っかき回した感があるそのトランプ氏と、安倍晋三氏は蜜月関係を築いた。そんな安倍氏には「猛獣使い」とのニックネームも。インタビューでは、同盟関係についてトランプ氏から「挑戦」を受け、国論を二分しながら成立させた安全保障法制を前面に出して反論した逸話を明かした。(共同通信=倉本義孝ほか) ―日米関係を常に重視してきましたね。トランプ氏と、どういう風に付き合おうと考えていたのですか。 基本的なところから話したい。なぜ日本は日米同盟を重視しているのかと言えば、米国は日本が侵略された時に、唯一日本のために戦ってくれる同盟国だからだ。これは、域内いずれかの国が攻撃された場合、共同で応戦・参戦する北大西洋条約機構(NATO)と違うところだ。 だから当然、日本の首相は米国の大統領と信頼関係を持つ。そして、信頼関係を持っていると国際社会が認識する。私は、そういう環境をつくっていくことが日本の首相の責任であると思っている。
大統領が、どなたであれだ。2016年、トランプ氏が大統領に選出されたのは、日本の外務省にとっても予想外の出来事だった。どういう考え方を持っているか、なかなか手探りの状況だった。こうした状況の中では、まず早めに私の考え方を示すのが重要と判断した。そこで、インド太平洋地域の状況がどうなっているか、ということを最初にトランプ大統領に話をすることにした。 ―インド太平洋地域の状況とは中国の話ですか。 そうだ。中国の軍事力の増強について、その時の軍事費、あるいは海軍力、空軍力など、海外との比較も含めて説明した。表とグラフを持って行って示しながら。日米同盟が強固でなければ、この軍事バランスが崩れると。逆に、軍事バランスがとれることによって、インド太平洋地域が安定し、平和なものになっていくという話をした。 ▽日本の投資は米に貢献 ―トランプ氏は不動産で成功した資産家、実業家だが、国家間の駆け引きや外交の経験は浅かった時期だと思います。首相の説明を、どういう様子で受け止めていましたか。