「全国の海保で最大級」大型ヘリ6機収容できる整備拠点と船舶給油施設…10管、尖閣警備や災害対応強化
第10管区海上保安本部は巡視船やヘリコプターの運用を効率化するため、鹿児島市七ツ島に海保で最大級となるヘリコプターの整備拠点と船舶用燃料の給油施設を整備した。尖閣諸島の警備や相次ぐ災害対応の強化が目的。10管の赤松宏樹本部長は「施設を存分に活用し、海上での法の執行機関として適切に対応していきたい」としている。(関理一郎) 【写真】船舶用の重油を貯蔵するタンク
10管によると、国際情勢が厳しさを増すなか、10管には2020年以降、尖閣諸島の警備強化などのため、ヘリコプター搭載型巡視船が次々と就役。大型ヘリコプター10機も保有し、全国の海保で最大規模の勢力という。
一方、ヘリコプターの整備拠点となる鹿児島県霧島市の鹿児島航空基地と巡視船の拠点である七ツ島が離れていることや、巡視船の燃料補給にタンカーを呼ぶ必要があるなど、人員の運用や安定した燃料確保に課題があった。
同本部は10月、七ツ島にヘリコプターを格納する七ツ島運航支援センターと、船舶燃料給油施設を整備して運用を始めた。建設費は44年までの維持管理費を含めて約110億円で、民間の資金やノウハウを活用するPFI方式を採用した。
施設内には、ヘリコプターの離着陸場や大型ヘリコプター6機を収容できる海保で最大規模の格納庫(延べ床面積約4400平方メートル)を備える。これまで鹿児島航空基地や民間の施設などで行っていた機体整備を一元化することが可能で、効率化が図れるという。
給油施設には直径20メートル(容量3500キロ・リットル)の大型タンク2基を設置した。タンク内で重油を貯蔵し、地下のパイプラインから巡視船に給油できるという。
同センターの山本修・所長は「効率的な運用と整備が可能になった。尖閣諸島の警備などを通じて国民の安心安全につなげたい」と話している。