阪神の西岡vs上本の二塁バトルの是非
阪神の西岡剛(30)と上本博紀(28)が来季のセカンドのポジションを沖縄・春季キャンプから争うことになっている。 昨年の巨人との開幕ゲームのセカンドは西岡だったが、その3連戦のカードで打球の処理を巡って福留孝介と激突。数箇所にわたって骨折してしまう重症を負って戦線を離脱し、出場試合は24試合にとどまった。怪我の西岡の代わりにセカンドへ入った上本は「1番打者」に定着。131試合に出場して、打率.276、20盗塁、90得点、出塁率.368というリードオフマンとして合格点の数字を残した。シーズンの最後に復帰した西岡は、クライマックスシリーズ、日本シリーズでは、サードでの起用となっていた。当初、首脳陣は、西岡には、今季もサードでのポジション争いに参加してもらいたい意向だったようだが、鳥谷敬(34)が海外FA権を行使したため、西岡の外野転向説まで浮上してポジションは流動的となった。結局、鳥谷は残留したが、西岡自身は「ダメなら控えでも」という強い決意でセカンドを志願した。 まだ30歳の西岡にすれば、ここでサードへ回ることは選手としての値段を下げて選手生命を縮めることにもつながりかねない。サードや外野転向は、本当に二遊間で動けなくなくなったときの逃げ場でしかない。西岡が二遊間にこだわる理由もよくわかる。 和田監督や首脳陣の来季構想では上本のセカンドは不動だったが、西岡の「勝負したい」という意向を汲み、チーム内競争を歓迎、上本か西岡かのどちらかがベンチを暖めるという贅沢なバトルがチーム内で勃発することになったのである。 しかし、チームの内外からは賛否の声が挙がっている。 吉田義男・元監督も否定的な意見を明らかにしている。さらに否定派が心配するのはレギュラーの決め方をどうするかという定義だ。キャンプ、オープン戦を通じてのバッティングの数字なのか。それとも監督、コーチが、守備力や調子の良し悪しを見ながら総合的に判断するのか。キャンプ、オープン戦でのコンディションで左右されるとなると、西岡にはオフに右肘手術したというハンディがある。そのプロセスと、結果如何によっては、外された方の選手が死んでしまう可能性がある。特に西岡は気持ちでプレーするタイプの典型的な選手。もし納得のいかない不透明な形で決断を下された場合、横を向いてしまう危険性があるのだ。