西武・栗山巧 生え抜き球団初の快挙をどんな1本で迎えるか/節目の記録を見据えて
「とてつもなく遠い。でも、夢でもある。一つひとつ積み上げて、早く『目標です』と言えるような安打数になりたい」 2016年6月19日のヤクルト戦(神宮)で通算1500安打を達成した栗山巧が、2000安打への思いについてマイクを向けられたときの言葉だ。1本ヒットを打つことがどれほど難しいことか。1つの「H」マークを灯すことに全身全霊をかけ続けているからこそ、次なる“500”が、決して簡単に見据えられる数字ではないことを誰よりも痛感していたのだろう。職人・栗山らしいコメントだった。 それから4シーズンの時が流れた。通算1825本からスタートした今季、その数字は開幕からハイペースで伸びた。特に7月は25安打、3本塁打、打率.309。その好調ぶりが持ち前の勝負強さをより際立たせこともあり、8月からはクリーンアップの一角を任された。以降も打順に左右されることなくシーズン通してコンスタントに安打を積み重ねて101安打をマーク。通算安打数は1926となった。 偉業達成まで残り74安打に迫った。100安打を大きく切り、栗山自身もいよいよ現実的な「目標」として意識し始めたに違いない。球団も今オフ、37歳ながら3年契約を結びバックアップは万全だ。すでに通算安打で球団最多となり、記録を更新中だが2000安打を達成すれば、球団史上初の生え抜きでの大快挙となる。「少しでも野球がうまくなりたい」という飽くなき向上心は、20年目を迎える来季も一寸の陰りもないだろう。 残り50安打になったとき、30安打、20安打、10安打まで迫ったとき、ミスター・ライオンズはどんな表情、姿を見せるのだろうか。そして、どんな“1本”で高み到達の瞬間を迎えるのだろうか。2021年、背番号「1」の放つ1本1本の安打が、今から楽しみで仕方がない。 写真=BBM
週刊ベースボール