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香港の匿名警官「罰下すのは私たちの役目ではない」 同僚からは「裏切り者」扱い

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The Guardian

【記者:Verna Yu】  ラリー・ヤンさん(仮名)はこのところ、警察の中で浮いた存在だ。正義感の強いヤンさんは警察の仕事に魅力を感じ、20年以上前に香港で警官になった。卒業時に締めたネクタイを自慢げに見せながら、社会に奉仕したい、恵まれない人々の役に立ちたい、と思った新人警官だった頃の自分を振り返る。 「警察で教わったことには従う」とヤンさんは話しながら、自分が同意した警察の信条と使命が書かれたリストを見せた。「法規の順守」「公平無私と思いやり」「一般市民の権利の尊重」などの文字が躍っている。  しかし香港の政情不安で過激化してきた抗議活動を厳しく取り締まるために警察は暴力的な戦術を取るようになり、ここ最近、警察への忠誠心を試されるようになってきた。 「警察は市民を守るべきだ。しかしその代わりに私たちは、“安定維持”を目指す当局の道具になってしまっている」とヤンさんは悲しげに笑う。「当局の高官は表には出てこなくなり、私たちが盾になっている」  怒れる群衆に対抗するため、警察は催涙ガス、ゴム弾、放水砲の使用頻度を増やして人々を殴打し、警察と市民は互いへの敵意を危機的なレベルにまで募らせている。  デモ隊は、正当な報復と考えるさらに過激な行動に出て、マスクをした活動家らが警察にコンクリート片や火炎瓶を投げつけ、地下鉄駅や親中派とされる店舗を破壊。路上に火を放ち、警官や、覆面警官と思われる人物、あるいは単に政府寄りとされる人々さえも攻撃している。  ヤンさんは、同僚警官たちの行動を非難し、そのせいで同僚たちとの仲は険悪だという。 「警察学校にいたときは、実力行使に出るなら必要最小限にとどめるよう教えられた。罰を下すのは私たちの役目ではない」とヤンさん。「でも今は、ほとんどの警官が“暴徒”は罰せられるべきだと考えていて……見境なく攻撃している。抗議活動をしていない人々をもだ」 「恐ろしいことに、警察にいる大多数がそれを問題とは思っていない」  警察はなぜ、暴力的な行為をエスカレートさせているのか? ヤンさんはこの質問に、同僚たちの多くは頭に血を上らせ、職権を乱用しても許されると思っているのだと説明した。

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