センバツ2023 3回戦 報徳 やったで!東邦制した 延長の末勝利 /兵庫
第95回記念選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高野連主催)に出場している報徳学園は28日、3回戦で東邦(愛知)と対戦し、延長十回タイブレークの末、5―4でサヨナラ勝ちした。過去に何度もセンバツで激戦を繰り広げた名門校を相手に、多数のOBがアルプス席に駆け付けて選手たちに声援を送った。報徳学園は29日の準々決勝第4試合(午後4時開始予定)で、夏優勝の仙台育英(宮城)と対戦する。【大野航太郎、来住哲司】 報徳学園は1964年のセンバツ初出場以来、東邦と春は4回対戦し、1勝3敗と負け越していた。「今回こそ」とアルプス席から熱い視線を送った土江正人さん(69)は71年の2回戦で対戦し、4―12で惨敗した時の三塁手。初回に奪われた11点は1イニングの最多得点として大会記録に残る。二回2死満塁から、岩本聖冬生(3年)の右前適時打で先制すると、土江さんは「よし!」と力強く拳を握った。 だが七回に同点に追いつかれると、土江さんのチームメートで二塁手だった安田昌弘さん(69)は緊張した表情を浮かべた。それでも、エースの盛田智矢(3年)が九回から登板。相手打線を抑え、延長十回タイブレークの末にサヨナラ勝ちを決めると、2人は顔を見合い喜びをかみしめた。 アルプス席には報徳学園野球部OBで元プロ野球選手の金村義明さん(59)の姿も。劇的勝利に「よくやってくれた。初戦に比べて動きがよくなった。次戦も楽しみ」と後輩たちに期待していた。 ◇初Vエースも応援 ○…第46回大会(1974年)で報徳学園が初優勝した時のエースだった住谷正治さん(66)が三塁側アルプス席で、初戦に続いて応援。この日は金色の優勝メダルも持参した。49年前について「優勝はうれしいけど、全5試合中完投は1試合だけで悔しかった」と苦笑い。高校卒業後は社会人野球・小西酒造に進んだものの早く引退し、現在は神戸市で妻と暮らす。選手たちに「一生懸命やって優勝を狙ってほしい」とエールを送り、サヨナラ勝ちの瞬間は立ち上がって拍手していた。 ……………………………………………………………………………………………………… ■熱球 ◇見せた「勝負強さ」 林純司(3年) 「誰よりも練習をやってきたんだ。思い切ってやれ」。大角健二監督(42)から激励を受けて立った四回1死走者なしの打席。初球の直球を捉えた打球は、公式戦で初めての本塁打となった。スタンドから大歓声を受け、ほっとした表情を浮かべた。 大会前の練習試合では不調で、初戦は先発メンバーに入れなかった。この日は先発入りし、「見返してやる」と闘志を燃やした。八回にも2死から右中間に二塁打を放って好機を作り、大角監督も「勝負強い」と評価した。 滋賀県の出身で、中学時代は大阪桐蔭の前田悠伍(3年)とバッテリーを組んだ。年末に2人で食事し、甲子園での対戦を誓い合った。「次戦も勝って大阪桐蔭と戦いたい。秋の近畿大会では抑えられたが、今度はやり返す」と力を込める。【大野航太郎】 〔神戸版〕